重回帰分析

重回帰分析は、ある事象に強く影響する要因を明らかにすることに長けた多変量解析法のひとつです。

例えば、商品の特徴別評価のうち、どの要素がその商品の購入意向の強さに強く影響するかを明らかにすることができます。 また、その結果を用いて、どの要素を改善することが自社商品の購入意向向上に効果的かを明らかにすることなどにもつながります。

購入意向の強さを結果となる事象(目的変数)、商品の特徴別評価を要因となる事象(説明変数)と位置づけて、その関係を重回帰式によって解析することで、それぞれの特徴が購入意向の強さに与える影響度を明らかにしていきます(データはいずれもダミーデータ)。

Case Study分析例

商品購入意向を高めるために効果的な商品特徴を明らかにしたい

購入意向に特に強い影響を与えるのは、商品のどの特徴?
購入意向に特に強い影響を与える商品の特徴
それぞれの特徴が購入意向の強さに与える影響度は?
それぞれの特徴が購入意向の強さに与える影響度

この結果から、購入意向の強さに最も影響を与えているのは「手軽に食べられる」という特徴、次いで「食感の良さ」であることがわかります。
さらに、この結果と自社商品に対する評価を組み合わせると・・・

購入意向への影響度が強く、自社商品への評価が低い特徴は?
購入意向への影響度が強く、自社商品への評価が低い特徴

「手軽に食べられること」への自社商品の評価はすでに高い状態にあります。
一方、「食感の良さ」への評価は比較的低く、この改善が優先課題であると考えられます。

重回帰分析は、このような分析のほか、例えばある商品の購入量に強く影響する要因を明らかにする、ブランドロイヤリティの高さに強く影響する要素を明らかにする、などの目的のために有効な多変量解析の手法です。

push_pin POINT

ある事象に強く影響する要因を明らかにする多変量解析の手法は重回帰分析のほかにもいくつか存在します。
そのうちどの手法が望ましいかは、分析目的・リサーチ課題によって異なってきます。また、使用するデータ・変数の種類によっても異なってきます。
さらに、これらの分析手法は、要因となる事象(説明変数)の取捨選択が分析の成否にとってたいへん重要です。
もちろん、分析するデータのもととなる調査票・質問項目の適切さが重要であることはいうまでもありません。

JMAは、お客様とのコミュニケーションを通じて分析の目的や課題を明確にしつつ、課題解決に向けて最適な調査設計~分析をご提案いたします。

import_contactsコラム決定係数って実は大事。

重回帰分析を行うと、偏回帰係数のほかに決定係数(調整済みR2)という数値が出てきます。
そのうち偏回帰係数は、目的変数に対する各説明変数の影響度を示す数値になります。つまり、どの要素が大事か?を表す数値なわけで、マーケティング施策にも直接つながる分、クライアントのご担当者様も大変関心をもってご覧になることが多いようです。

一方、決定係数はあまり顧みられることがないような印象を受けます。上の事例グラフでも小さく書かれているだけで何の説明もありません。決定係数とは簡単にいうと、分析に用いた説明変数群で目的変数の値の変化をうまく説明できるか?を示した数値のことです。こういうと、マーケティング施策にはたいして結びつかなさそうだし、やっぱり気にすることもないや、などと思われがちですが、いやいや実はそうともいえないのです。
決定係数が高い、つまり分析に用いた説明変数群(上の事例でいえば商品の特徴別評価の項目群)で目的変数(購入意向の強さ)の変化を十分説明できる場合は特に気にする必要はないでしょう。しかし、決定係数が低い場合は注意が必要です。決定係数が低いとは、繰り返しになりますが、分析に用いた説明変数群で目的変数の変化をうまく説明できていないことを意味します。

これは、言い換えれば、目的変数(購入意向の強さ)にとっては分析に用いた説明変数群(商品の特徴別評価群)以外に大事な要因がありそうだよ、それをもっと探そうよ、ということを示唆しているのです。
重回帰分析の結果をみる際は、偏回帰係数だけではなく、決定係数もチェックすることで、「その説明変数群だけでよいか、ほかに考慮すべき大事な要素を見落としていないか」にも気を配った方がよいのです。

「じゃあ、決定係数はいくつ以上ならいいの?」と疑問を持たれた方もいるでしょう。もっともな疑問ですが、業種・業界の相違や、分析課題、分析に用いる変数の特徴などにより一概にいえるものでもありません。その上で強いていうならば、もし0.2程度かそれを下回るようならばいろいろと見直した方がよいのではないかな、と思います(もちろん、決定係数が1.0に近い値であることに越したことはありません)。

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