自主調査企画 第3回

「完全食」を通して探る、
食に対する新たな価値観・今後のトレンド

前回の社内ブレストを通して決定した2つの自主調査テーマ。まずは「完全食(完全栄養食品)」から調査していきます。
定量調査で、認知・利用経験率や利用者のプロファイルなどを把握し、その結果をもとに設計した定性調査を行い、利用者の価値観や今後の変化の兆しを探っていきます。
今回は、定量調査の結果についてレポートします。

認知率はまだ2割程度 ユーザーは20代男性が中心

まずは、完全栄養食を「人が生きていくのに必要な栄養素がすべて含まれる食品。グミ、ドリンク、パウダー、パスタなどのタイプがあり、短時間で効率的に栄養を摂ることができる」と定義した上で、認知・利用経験率がどのくらいなのか調べてみました。
全体での認知率は22%利用経験率は3%と世の中にはまだまだ浸透していないようですが、20代男性での利用経験率が17%と、他の性年代に比べて高くなっています。現在利用者の内訳を見ても、ユーザーとしては20代男性が最も多いようです。

■認知・利用経験(SA)    ■現在利用者ベース(n=31)性・年代構成

また、3つの完全栄養食ブランドを呈示し、認知・利用経験を聞いてみました。呈示した”COMP””ベースパスタ””ソイレント”の中では、利用経験率は”ベースパスタ”が最も高く65%、”COMP”が50%、”ソイレント”は38%となりました。“ソイレント”はアメリカのブランドであり、個人輸入による購入が必要なため、まだ入手のハードルが高いのかもしれません。

一方、”ベースパスタ” ”COMP”は日本のブランドですが、現在利用率をみると”ベースパスタ” 56%、”COMP”38%となり、グミもしくはドリンクタイプの”COMP”よりも、”ベースパスタ”は普段の食事と違和感なく置き換えやすく、定着しやすいのかもしれません。

ユーザーは自己実現意識・チャレンジ志向が高い?

では、実際にどんな価値観を持つ人が完全栄養食を利用しているのでしょうか。
生活意識について聞いてみると、全体(n=1000)では「安定した生活を送りたい」「無理せず自然体で生きていきたい」などが上位に挙がっていて、安定志向の人が多数派であることが分かります。

一方、完全栄養食の現在利用者(n=70/ブーストサンプル含む)は「目標に向かって努力するのが好き」「新しいことによくチャレンジしている」「将来実現したい夢を持っている」といった項目の同意率が高く、資産運用や起業への興味もあるようです。

■生活意識(MA)

ユーザーの食に対する興味・関心は・・・

私たちは、完全栄養食を利用しているのは、「食べることが面倒、食べる時間がもったいない」という気持ちを持つ、食に対する興味・関心が低い人なのではないかという仮説をもっていました。さて、実際のユーザーはどのような意識を持つ方たちなのでしょうか。

完全栄養食ユーザーの食に対する意識として最も高くなったのは、「栄養バランスを考えた食事を摂るようにしている」(41%)、次いで「身体に良いものを多く摂るようにしている」(39%)、「おいしいものを食べるためにお金は惜しまない」(37%)、「普段から健康食品やサプリメントを摂っている」(36%)となり、いずれも全体と比べて10ポイント以上の差をつけて高くなっています。

一方で、「毎日三食きちんと摂るようにしている」は全体よりも低く、健康や栄養に対する意識の高さに反して、毎日三食食べていない/食べられない人もいるということが分かります。

■食意識(MA)
「おいしいものを食べるためにお金は惜しまない」「食べ物に関して人に情報提供することが多い」「食に関する記事やTV番組をよく見る」と答える人が全体よりも多く、また、「趣味」を尋ねたところ、「食べ歩き」(36%)、「料理」(30%)が上位に挙がっていたことからも、食べることが好きで、楽しんでいる様子が見られます。
私たちのユーザーイメージとは少し異なり、食べることを楽しみつつ、健康意識が高く、効率よく栄養を摂りたいという価値観を持つユーザー像が浮かび上がってきました。

意外な利用理由、利用シーン

完全栄養食の利用理由としては、「バランスよく栄養を摂るのは難しいから」が54%でトップ、次点が39%で「味がおいしいから」となりました。一方、「何を食べるか考えるのが面倒」「食べること自体が面倒」「食事よりも仕事や趣味に集中したい」といった項目を挙げている人は、2割以下という結果になりました。

■完全栄養食利用理由(MA)

また、自由回答では「栄養が摂れる」「健康に良さそう」などを中心に、「ダイエット」「筋肉作り」「就寝前の小腹満たし」「食欲がないときの病気食」などを挙げる人も見られました。
ともすれば、サプリメントや、ゼリータイプ・バータイプの栄養補助食品、置き換え型のダイエット食品などでも代替できる価値のような気もしますが、完全栄養食品にしかない良さはどこに感じられているのでしょうか。

完全栄養食を食べると無敵になれる?

完全栄養食に対する情緒的な価値を洗い出すべく、「完全栄養食を利用している自分/利用していない自分」を対比してもらい、それぞれについて自由回答していただきました。

ここから読み取れるのは、完全栄養食を利用することで、「生活を合理的にコントロールできている満足感」だったり、「栄養状態が完璧な無敵感・万能感」といった情緒価値を感じているのではないかということ。
実は、社内ブレストの段階で「ドラゴンボールの千豆を食べたときのようなイメージかな?」と話題にのぼっていましたのですが、あながち間違いではなかったのかもしれません・・・。

■完全栄養食を利用している自分/利用していない自分 対比(FA抜粋)

定量調査を通して、完全栄養食のユーザー像が少しずつ明らかになってきましたが、前述したような、サプリメントや栄養補助食品などとの位置づけの違いや、例えば“無添加”や”オーガニック”、糖質やカロリー”オフ・ゼロ”の商品などはどう見えているのだろうか?などなど・・・さらに興味が湧いてきます。

次のステップでは、完全栄養食ユーザーに対する定性的なインタビューを通して、今後の食に対する新しい価値観やトレンドを発見すべく、深掘りしていきたいと思います。