株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 シニア・ディレクター インタビュアー 吉田 聖美
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
新年1回目のメールマガジン原稿、といっても、私は特にテーマを決めておらず、その時々で気になっている関心ごとを徒然と記しているだけなので、今回も新年とは関係がないお題です(笑)
昨年「評価グリッド法レジスタードマークをやりたいのですが」というお題をいただき、ある実査を行った。
普段は「今考えている商品の受容性を知りたい」「現在市場にある〇〇の現状を知りたい」といった依頼が多いのだが、定性調査についてはほとんどの手法の経験がある弊社、たまにこの手法を使ってやりたいのだが対応できますか?というご相談を受けたりもしている。
調査手法については若干のブームがあり、ヴィジュアルを使った手法が多い時期もあれば、評価グリッド法のようなラダリングが多い時期、また違う発想法(コリドーテクニック、文章完成法、擬人化法)などが多い時期もあった。モデレーターはこういった手法を一通り経験し、具体的な案件が発生したときに「あのやり方を使えばただ質問するよりもうまく聞き出せるかも」と自分の引き出しをあけ、クライアントに提案する力も求められている。
さて、前述の評価グリッド法だが、私がこの手法を初めて体験したのは2007年のこと。その年はこの手法の引き合いが多く、何本か続けて体験した。その後、ラダリングの基本的な考え方として定着しており、今では通常のグループインタビューの中にこの考え方を組み込んだりもしている。
評価グリッド法の基本的な考え方は「一対比較」「上位・下位概念の階層構造」である。このうち、「上位・下位概念の階層構造」はラダリングの基本的な考え方として習得しておくと、普段の実査での聴取の幅が広がるものである(弊社でも新人モデレーターに定性調査に欠かせない概念の1つとして習得の機会を設ける予定でいる)。
「上位概念」「情緒価値」と呼ぶこともある。商品のある良さがどういった良さに繋がっているのか、その価値があることで商品がどんな良さを提供してくれているのかを聴取していく。
ちなみに上位概念を引き出すための定番である「どんな良さがあるの」という問いかけを小学4年生の娘に試してみたのだが、答えることができていた。引き出したい答えは概念的で難しい面もあるが、質問としては平易な言葉を使えるというのもこの手法の優れたところなのかもしれない。
「下位概念」「属性価値」と呼ぶこともある。実はこちらの方が商材を選ぶ質問なのではないかと思っている。また定番となる質問が存在しにくく、質問ワードにバリエーションを加えつつ、引き出していくことが必要となる。
聞きたいことは「その価値を可能にするためには何がどうなっていることが必要なのか」なのだが、明らかに話し言葉ではない。「どうであれば〇〇することができると思う?」「その商品のどんなところが〇〇と言う良さに繋がっていると思う?」「その商品がどうだから〇〇なんだと思う?」という質問が必要になる。
下位概念のラダー作成が難しい要因の1つは、上位概念は対象者自身も「自分の気持ちを自由に言えば良い=正解はない」ということがわかりやすいが、下位概念は商品特長・属性を尋ねているので実は正解が存在していることが多く、「間違っているかもしれないけど」「よくわからないけど」という気持ちが発生しやすい点にもある。「合っている、合っていないは別として自由に回答して下さいね」と心のバリアを軽減する必要が出てくる。
評価グリッド法が一対比較を前提としている理由はこの「下位概念」を出しやすくするためでもあると思う。比較をすることでより商品の属性的な特徴が明確になると同時に、対象者も具体的でより詳細な言葉を出しやすくなる。
AとBを比較してAの良いところを探せば良いのだな、違いを見つければ良いのだな、という考え方のヒントがあることで、対象者が考えるストレスを軽減することができるというのも評価グリッド法の利点である。
モデレーターをしていて痛感するのだが、人は「意図がわからない質問」が苦手だ。なぜそれを聞かれているのかがわからないとストレスになる。評価グリッド法を使うときは出来上がりつつあるラダーを対象者自身にも見せることが多いが、それも自分が何を問われているのかを可視化し、明確にする1つの手段である。
評価グリッド法については、詳しく、かつ、わかりやすくその手法を説明しているサイトやセミナーがあるため、私からの説明は簡略にさせていただいた。シンプルだが、奥深い手法なので、興味のある方は是非自分でも実践することをお勧めしたい。
「〇〇の手法をやってみたい」「〇〇について知りたいが良い聞き出し方はないか」など、今年はクライアントの要望をキャッチしつつ、それに応えていける年にしていきたいと思っている。

※「評価グリッド法レジスタードマーク」は、讃井純一郎氏の登録商標です。