株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 アシスタント・ディレクター 梶山賢一
10月はハロウィンの季節。ひと昔前は一部の人が楽しむものだったが、数年前くらいから一般にも広く浸透してきた。食品や小物など小売店でのグッズ販売はもちろん、最近ではパレードやパーティーなど、集客イベントとしても盛り上がりを見せている。その経済効果はバレンタインを抜く勢いのようだ。今回はそんなハロウィンをツイッター分析してみた。

 ■分析対象:「今年のハロウィンは」という単語を含むツイッター。
 ■対象期間:2014/10/20~10/28
 ■対象件数:2914件
 ■分析ソフト:株式会社プラスアルファコンサルティング『見える化エンジン』

≪考察インデックス≫
 1.グッズを買うにとどまらず、仮装やコスプレなどをしてハロウィンをより楽しもうとしている
 2.今の時期、ハロウィンへの期待感で気持ちが高揚
 3.人気のコスプレは従来からのゾンビやドラキュラ。一方で今の社会現象も取り入れている
●仮装やコスプレなど、ハロウィンをより楽しもうとしている

図1は、今回の検索ワードである「今年のハロウィンは」という単語(文字列)に係る係り受けを2段階まで図示したもの。ここでは「単語マップ」と呼んでいる。
※係り受けとは、「主語-述語」「修飾語-被修飾語」のように、互いに関連しあった語のつながりのこと。
図1 「今年のハロウィンは」の単語マップ
 今年のハロウィンは.jpg
「仮装する」「作る」「お菓子」「コスプレする」など、ハロウィンならではの単語が続いている。また、「金曜日」からは「はしゃぐ」「いけるぞい」などの単語が続き、10月31日が金曜でさらにハジける気持ちが見て取れる。
●ハロウィンが待ち遠しくてたまらない

図2-1は書き込みの単語ランキングである。
図2-1 単語ランキング
 今年のハロウィンは単語ランキング.gif
「今年のハロウィンは」はそれが検索ワードなので当然1位だが、2位は「ハロウィン」、3位は「やる」、4位は「仮装する」、5位は「行く」と続いている。
また、このランキングの表頭では「可能・容易」「不可能・困難」など、単語の意味属性別での使用件数を表示している。3位の「やる」という単語は、疑問(13件)や要望(36件)という意味合いで使われているのがわかる。具体的に原文を見てみると、
【疑問】
 ・「ねえねえ!今年のハロウィンは何やるんですか?!」
 ・「今年のハロウィンはなにやるの???( ^ν^).。oO( )きになる( 笑 )」
 ・「今年のハロウィンは本当にマーキュリーやるの?????」
【要望】
 ・「今年のハロウィンはなにもやらないで終わるのかなーなんかやりたい!」
 ・「今年のハロウィンは何も出来なかったから来年はやりたいなー。」
 ・「今年のハロウィンはどうすっかなぁなんかやりたいよなぁ」
 ・「去年はただ見てるだけだったし、今年のハロウィンはなんかやりたいなぁ。」
など、ハロウィンへの期待感や盛り上がりの気持ちが表れているのがわかる。
図2-2は図2-1の単語ランキングを品詞別に表示したものである。
図2-2 単語ランキング(品詞別)
今年のハロウィンは単語ランキング品詞別.gif
形容詞を見てみると、「良い(1位)」「可愛い(2位)」「楽しい(3位)」「好きだ(8位)」など、楽しくてポジティブな感情があることがわかる。他に、「こわい(9位)」「残念だ(21位)」「寂しい(25位)」というネガティブな表現もあるが、原文を見ると、
【こわい】
  ・「今年のハロウィンはゾンビ系の人が多い。。。怖い。。。笑」
  ・「今年のハロウィンはなんのコスプレしようかな~ミクフル装備しようかと思ったけどハロウィンやし怖い系のにしたいなー」
【残念だ】
  ・「今年のハロウィンは、何もできないのがとても残念。」
  ・「今年のハロウィンはイベントとか特に予定ないのが残念だなぁ(T_T)」
【寂しい】
  ・「今年のハロウィンはお家で寂しく」
  ・「なんか、今年のハロウィンは良かった!終わっちゃうの寂しいです。」
となっていた。「こわい」はコスチュームのことだったが、こわさも楽しんでいる様子がうかがえる。また、「残念だ」「寂しい」は「参加できなくて残念/終わってしまうのが寂しい」ということであり、いずれにしろハロウィンへの期待や楽しさが現れている。
●コスプレはゾンビや魔女など従来からのキャラクターが強い一方で、流行も取り入れている

図3はコスチュームに関する書き込みに絞ったランキングである。
図3 コスチューム関連ランキング
コスチューム関連ランキング.gif
さまざまなコスチューム関連の単語が見られるが、大きく分類すると、「従来系」「キャラクター系」「セクシー系」「ディズニー系」「流行系」となった。
ハロウィンのコスプレといえばゾンビや魔女、ドラキュラははずせないようだ。また、『アナ雪』をはじめとするディズニーも強い。赤ずきんちゃんが意外に件数が伸びたのが少し不思議な感じがする。
流行系の「朱美ちゃん」は今年特有のランキングだろう(おせっかいな注:「朱美ちゃん」とは「日本エレキテル連合」というお笑いコンビの持ちネタ)。エボラがコスプレのネタになっているところは、まだ対岸の火事という感覚のせいだろうか。
●まとめ

冒頭にも書いたが、ハロウィンはここ数年急激に盛り上がってきたように感じる。筆者の勤め先は渋谷だが、去年は仮装行列でセンター街が人で埋まっており、仮装などしない単なる会社帰りの身としては「はた迷惑な!(だけど楽しそう・・・)」と複雑な気持ちだった。いったいこの盛り上がりはなんなのだろうか。
G.ジンメルによると、流行現象には「同調化への欲求」と「差別化への欲求」が関係しているという。「同調化」とは模倣による社会への適応を志向することであり、「差別化」とは自分の独自性の主張を志向することだ。
考えてみると、ハロウィン現象は確かにこの2つの欲求が満たされているように感じる。特にコスプレして街を練り歩く人たちは、「ハロウィン現象へ参加することによる同調化」と、「何のコスプレをするか自分で選択できることによる差別化」が同時に可能だ。そしてコスプレをしない多数の周辺の人たちは、楽しげなグッズを見たり買ったりするだけで手軽にイベントに参加できる。
一方で、欧米起源のお祭りであるハロウィン自体の性質から考えてみると、その「物語性」「(日本人にとっての)新奇性」「変身願望の充足」「開放性」「多様性(子供から大人まで)」などによってこれだけ受け入れられてきたように思われる。
他にも日本特有の条件として、「暑くもなく寒くもなく、日本にはこの時期これといったイベントがなかった」点も実は大きなポイントかもしれない。盛り上がるべくして盛り上がったといえるだろう。