株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
取締役フェロー 澁野 一彦
◆「敬老の日」に合わせてシニアのデータを更新~8人に1人が75歳以上に

毎年総務省では「敬老の日」に合わせて9月15日時点での65歳以上の高齢者の推計人口を発表している。
今年総務省が発表した推計によると、2014年の65歳以上の高齢者は、前年に比べ111万人増の3,296万人だった。日本の総人口の中で占める割合は0.9ポイント増の25.9%で、ほぼ4人に1人が高齢者という計算。人数、割合とも 昨年発表を上回るスピードで過去最高を更新した。
年代別では、75歳以上が前年比31万人増の1,590万人。総人口に占める割合は12.5%で、初めて8人に1人が75歳以上となった。 80歳以上は同35万人増の964万人。
来年には80歳以上の高齢者だけで1,000万人の大台を突破すると予想されている。
図表1:高齢者の人口と総人口に占める割合(2014年9月15日現在推計)
高齢者の人口と総人口に占める割合_シニア2014.gif
*総務省発表報道資料をもとに作成
また、65歳以上の高齢者のいる世帯も増え続けており、平成23(2011)年現在、世帯数は1,942万世帯であり、全世帯(4,668万世帯)の41.6%を占める。このうち高齢者が単身で住む世帯は552万世帯で、5年前より138万世帯増えている。
超高齢社会が猛烈なスピードで進む日本、当事者であるシニア層の意識にも変化が見られる。
◆シニアの「暮らし向き意識」はより鮮明に分化

昨年『シニアライフ・センサス2013』(高齢者ライフスタイル実態調査)の生活意識(暮らし向き意識)の回答から、「プア充(=経済的余裕はないが生活は満足)」と答えるシニア層が増加していると指摘した。
今期で3年目を迎える『シニアライフ・センサス2014』(今年度7月実施)でも、生活意識(暮らし向き)に関する2つの指標《経済的な余裕度》と《生活の満足度》》を重ねて、その変化を見た。
「余裕があり満足」「リア充」今年38%(←昨年39%)
「余裕はないが満足」「プア充」37%(←31%)
「余裕がなく不満」「リア不充」24.2%(←24.7%) と3分割。
昨年同様、今期はシニア層の「暮らし向き意識」の分化がより鮮明になっている。
図表2:経済的余裕度×生活の満足度(55歳以上)
経済的余裕度×生活の満足度_シニア2014.jpg
「プア充」と共に、「リア充」、「プア不充」の3層が確実に存在、最近3年間、この構造は大きく変わらない。今回はこの「暮らし向き意識」の3層の構造とその構成要因について考察する。
◆年代間(世代間)で「暮らし向きは識」に大きな格差が

この3層を年代別にみると、「プア充」が比較的多いのは、男性の65歳以上の《前期、後期高齢者》
64歳以下のポスト世代以下男性(比較世代含む)、また女性の比較世代(45~54歳)は、「余裕なし・不満足」の「プア不充」が4割以上を占め他の2層を大きく上回る。
逆に、女性の65歳以上の《前期・後期高齢者》は、「余裕があり・満足」の「リア充」が4割を超える
図表3:「暮らし向き指標」の年代別グラフ(2014版)
生活余裕度×生活満足度_シニア2014.jpg
男女とも65歳以上の高齢層は経済的な余裕のあるなしに関わらず、ポジティブな意識が先行。逆に《54~64歳高齢者予備軍》《45~54歳比較世代》は、経済的余裕がなく、現状に不満、将来に不安が大きい。不安要素も「生活のための収入・費用」と回答。次代のポストシニア世代の消費に大きな影を落す。
◆「暮らし向き」の充実度の源泉は、ストック(貯蓄額=経済資源)が大きく影響

次にこの3層別にストック(貯蓄額)を見ると、「リア充」の平均貯蓄額は3,431万円で、全体の平均貯蓄額である1,741万円(45歳以上全体:回答拒否を除く)のほぼ倍額。3,000万円以上も全体の4割強を占め、実態としてはかなり潤沢である。
一方「プア充」の平均貯蓄額は959万円、また「プア不充」は757万円と、いずれも「リア充」と比べて、大きく差が開いている。意識の上でも「暮らし向き」の充実度に関しては、ストック(経済資源)が少なからず影響していることがわかる。
図表4:自身・配偶者の貯蓄総額(2014版)
自身配偶者の貯蓄総額_シニア2014.jpg
ストック(貯蓄額)が「プア不充」と大きく変わらない「プア充」のシニアに関しては、次のようなコメント(自由意見)を寄せられている。
図表5:プア充「現在の生活の不安・不都合」についての自由意見(2014版)
プア充「現在の生活の不安・不都合」についての自由意見_シニア2014.gif
「プア充」層に見るように、自身の経済状況の実態はあるものの、与えられた環境で折り合おうとする(工夫して生きる)等身大のシニアの実像が浮かび上がる。
一方「リア充」な人達も、ストック(経済資源)があるからと言って、今までステレオタイプで描いていていた「金時持ち」シニアとは異なっている。
「リア充」の消費意識・行動についてはむしろ「プア充層」同様、「品質、価格比較して商品を買い」「店のポイントカードをよく利用し」、「過剰包装品は買わず」、「見た目より使いやすさを重視する」合理的な消費意識を持つ人たちである。他の層と異なるのは、より「エシカル」で「ある程度高くても質の高い物を買0う」など品質志向が強い点が特徴。
「リア充」層も今後の長い今までの消費経験から、合理的でスマートな消費を実践している人たちである。
次回も引き続き『シニアライフ・センサス2014』から シニアの消費行動特性を詳しい分析をしていく。