株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)
弊社コミュニティリサーチ部は、今年(2014年)の1月に「産学連携MROCプロジェクト~女子研究」を立ち上げた。
これは、MROC(Market Research Online Communities)を用いて、質的データを収集し、「“女子”とは何か、“女子力”とは何か、これにまつわる消費にはどのようなものがあるのか」というテーマで、コトバが作り出す市場創造をひも解こうという自主企画である。現在も進行中の当該プロジェクトは、一橋大学商学研究科 松井剛教授との共同研究であり、色々な角度から「女子」というコトバの解釈を試みるものである。
本稿では、研究成果の1つである「自分の立ち位置や規範によって、コトバの捉え方は変わる」という考察を紹介したい。この「“女子”とは自分のことなのか?誰かのことなのか?その時の自分の立ち位置は?」という当事者意識の有無は、分析の初期段階でぶち当たった問題点でもあった。
当コミュニティは20~40代の男女60名で構成されているが、「男性からみた”女子”」、「女子(当事者)からみた”女子”」、「非女子(女子であることに否定的な女性)からみた”女子”」の意味や役割がそれぞれ異なっていた。

(1)「男性からみた”女子”」ついて
男性からは、異性の視点からみた「こうあるべき」「こうであるはず」といった”女子”のステレオタイプが多く挙がった。
例えば、30歳男性は「おしゃれに余念がなく、何か楽しいことがないかといつも探していて、美意識が男性が思うよりもかなり強く、キレイになりたいと思わない女子はいないはず。」と高い美意識が女子のあるべき姿と美化し、47歳男性は「青山のフランフランに行くと、トレジャーハンティングみたいに探している女子を見ます。かわいいですね。」
と”女子”の消費を異性の立ち位置で語っている。
(2)「女子(当事者)からみた”女子”」
「~すべし」「取り戻したい」と女子を自分ゴトとして肯定する女性がいた。
例えば、47歳女性は「いつ、どこで、誰に遭遇するか分からないので、常に自分を磨いておく!ユーミンの歌にもありましたね♪・・女子は油断しちゃいかんのですよ・・現役の会社員の時から、知識から肌まで出来る範囲で自己投資。」という発言にもあるように、女子の概念が若い頃に形成されており、「性的役割を取り戻したい」という意識さえ垣間見られた。40代女性の中には性的役割を保とう、もしくは回復したいという者が目立った。
また、29歳女性は「購入はしていないのですが、家のリビングの照明をこのランプにしたくて狙っています。このランプはキラキラしていて見ると心が安らいでカフェにいるようなおしゃれな気分になるので女子っぽいかな?と思います。」
と派手なディテールが、女子力を高めるとしている。
(3)「非女子(自分≠女子とした女性)からみた”女子”」
「~せねば」という”女子”の性的役割に対して否定的な見解も少なくなかった。
33歳女性は「女子力とは、男性の前でこれをやったらモテると心得ている力。お菓子やお弁当を作る、飲み会の時に取り分け係をやる、男性より前に出ないなど、私とは正反対の人種な感じ。男性はこういった子が好きなんじゃないかなと思います。」と男目線のモテを意識した媚びやしぐさに嫌悪感を示し、44歳女性は「自分のことを女子って言っちゃう同世代の派遣仲間はこうでした。
休日にバーニーズニューヨークへ行って、ドアマンとかショップ店員とかの雰囲気に酔ってなんか一着買っちゃう。私とは別世界です。」
と女子らしい行動や振る舞いに距離を感じていた。

この自主企画のコミュニティによって、「意識や立ち位置が違えば、”女子”に対する役割期待が異なる」という研究成果を得ることができた。
これらの事実や気づきは、熟考型のオンラインコミュニティだからこそ表出させることができた。
参加者は、匿名性が担保されているから、影響力の強い意見に流されることなく、深層に眠っている”思考プロセスやホンネ”、”自己体験や記憶”をじっくり整理して語ることができた。また、自分の好きな時間につぶやけることで、自分のペースで自分の内と深く対話しながら、冷静に向き合うこともできたのである。
MROCの適正テーマという視点からみても、今回のような事象や概念を客観視する投げかけや議論型のコミュニティは、相性が良かったといえる。