株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 シニア・ディレクター インタビュアー 吉田 聖美
今期の部署と個人の目標としていた社内向けの定性調査研修・モデレーター研修が終了した。「定性調査」と名のつく研修はあちこちで行われていたりするが、今回弊社が社員向けに行った研修はかなり充実したものであったのでは、との自負があり、紹介してみたい。
まず、最初に広く社内を対象とした定性調査研修を行った。
初回は参加者全員があみだくじで順番を、くじ引きで聴取するお題を決め、一人ずつがモデレーターになってそのお題を他の参加者を対象者として聴取するというシミュレーションから始まった。
対象者もモデレーターも社員同士ということでラポールは形成されているが、「仕切る」という経験自体少ない者がほとんど。最初にモデレーターを体験した人が時計回りで指名をしていたら、次の人は反時計回りで指名をしていったり、途中で挙手をさせてみたり、と手探りながらも、さすがリサーチャーたち、鋭い質問や感度のいい回答が飛び交っていた。
終了後、立ち話的に感想を聞いてみたが、「モデレーターが時々口にする『会場の雰囲気』という意味がよくわかった」「直接話を聞くのとカメラ越しに見るのとは違う」と言ってくれた言葉が嬉しく、やってよかったなと思える出来事だった。
その後、「定性調査とは」といったマーケティング寄りの座学を長年企画部で定量・定性ともリサーチを見つめてきた方にやっていただいたり、社内のベテランモデレーターによるモデレーションの心がけの話があったり、お題を提供してのグループワークから発表体験があったりと、時間の制約はあったが、多岐にわたる内容を体験してもらえたのではないかと思う。
どれも私には出来ない内容だな、と講師を勤めていただいたお2人に感謝。
「モデレーションに興味を持つ・体感する」→
「マーケティング・リサーチの世界から定性調査を知る」→
「定性調査におけるモデレーターの役割を知る」→
「定性調査のまとめを体験する」、
とこう書いてみても様々な視点からのアプローチとなっていた。
なんだか、うまくパックにして、販売したいくらいである。
定性調査研修に参加した社員の声をいくつか紹介してみると・・・
●「仮説を立てることが大切」という話が特に印象に残りました。たとえ最初から正しい仮説を
 導き出せなくてもまずは自分で考えるくせを付けることが大切だと感じました。
●今後のインタビューを聞く際の注意ポイントが分かったので聞き方が変わりそうです。
●GIを見るときのモデレーター、対象者を観察する軸を得ることができたので、GIからより
 有意義な情報を得ることができると思う。
●業務に対しても、人に対しても、極力フラットにニュートラルに接したり、見方をすることの
 意識付けになった。
感想だけを見ても「仮説を持つことは必要だが、それに縛られてはいけない」「対象者の声をただ聞くだけではなく、その発言の意図を読み取ることが重要」といった定性調査の重要なポイントをつかんでもらえたのではないかと思う。
その後、定性調査研修参加者の中から、特にモデレーターという職種に関心がある者を募り、具体的なモデレーター研修を行った。
ちょうど自主企画でリテールラボを使ったインタビュー調査の企画があり、それに絡める形で、インタビューフローの作成、デプスインタビュー、報告書作成まで自分たちの力でやってもらった。実際にインタビューを行うだけでなく、そこに至るまでのフローの作成であったり、シミュレーションであったり、終わってからのまとめ、報告書作成であったり、具体的で勉強になることが多かったのではないかと思う。
他のメンバーのモデレーションを見たり、他のメンバーと意見を交換することの利点を挙げる声も聞かれた。モデレーターの仕事、それ自体は一人でやるものだが、企画担当者と協力し、意見を交換していく上で精度を高めていく部分もあり、それを体感できたのではないかと思う。
研修終了後の「モデレーターは聞き出すことが大変だと思っていたが、それ以上に事前のフローを作成するところが大変だった」との感想も新鮮だった。
確かに経験が溜まっていくと「これはあのときのあの聞き方が採用できそう」など自分の引き出しが増え、フローのイメージも湧きやすくなっていくのだが、最初の頃はフローを作成すること自体が難しく、どういったことを聞けば良いのか、どういった設問が求められているのか悩んだことを思い出した。
その後、無事にデビューを果たした後輩に対しては、お酒の席ではあったが、過去の失敗話を伝えておいた。今後、答えがない定性調査に携わっていく中では、自分の力ではどうしようもないことや、正しいと思ったこととクライアントが求める答えとにズレがあったというちょっと痛い経験もしていくと思う。
定性調査は毎回ドキドキするけれども面白い、その体験を定性調査に興味を持ってくれた今回の研修参加者が今後重ねて行ってくれると共に、そのことが定性調査からスタートした弊社の、定性調査スキルの底上げに繋がっていくことを期待している。