株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

年末年始に実家に帰省している間に中学、高校時代の友人と会う機会があった。その後、東京に戻ってきてからは大学時代の友人と会う機会もあり、それぞれの友人といろいろな話をした。
 しばらくの間、会う機会がなく疎遠になっていた人も多かったが、そこは10代からの友人、互いの近況報告から現状抱えている悩みまで、時間を忘れて話し込んだ。


 話しているときの盛り上がりや互いが持っている雰囲気は昔と変わらなくても、話の内容は随分変わった。10代の頃はもちろん、20代の頃と比べても、変わったと思うのは、悩みの内容として親の話が多くなったこと。


 私の地元ではほどんとの友人が地元に残っていることもあり、親と同居、または近居している。就職したてのときは都心に出ていたが、近年実家に帰ったという者もいた。先祖代々住んでいる者も多く、親の問題の裏には介護やお金の問題だけでなく、お墓の問題や建物や土地の相続の問題も絡んでいる。


 親がそばにいる者にとっても、私のように離れて住んでいる者にとっても、若いときには見えなかった親の問題、家の問題が気になる年齢になってきたのだな、というのを感じた。(見えるようになったきたというのは、自分の視点の変化だけでなく、親が話をするようになってきた、というのもあるかもしれない)


 生まれてからの年齢の変化、ライフステージの変化によって悩みの質が変わる、というのは人間だけでなく、商品にも言えることだ。


 商品のライフサイクル人間のライフサイクルは似ている。
 生まれる前には、願いや期待を込めて、名前を考える。
 -商品の場合は、願いや期待だけではなく、どのように世の中に送り出していくか、どのような存在に育てていく
  かという戦略も外せず、純粋に期待だけで誕生を自然に待つことは難しいが。


 生まれてからは節目ごとに発育測定の機会があり、そこで何か気になることがあったら相談し、悩みを解決していく。商品で言うとトラッキングや発売後一定期間調査にあたる。
 ここでは、悩みの解決や今後の道筋を立てるだけではなく、その商品の良さや今後伸ばしてあげたいところ、今はまだ大きな魅力となっていないが、光る可能性があるところを探してもあげたい。



 私がモデレーターの見習いをしていた頃、モデレーターの大先輩で師匠ともいえる方から言われたのが、「その商品の良いところを探してあげるのが定性調査だ」との言葉であった。
悪いところの方が目につきやすく、ブリーフィングでもしゃべりやすいのだが、悪いところはすでに見当がついている点であったり、定量調査でもわかりやすく出てくる点である。今年は、この「(今後につなげるためにも)良い点も探す」ことも心がけていきたい。


 人間のライフサイクルは年齢という普遍的な軸や家族構成などの客観的な基準によりある程度分類でき、わかりやすい。それと比べ、商品のライフサイクルは今その商品がどの段階にあるのか、というのを把握することから重要になる。


 商品が今どのような段階に置かれているのかを把握すること、今後この商品をどうしていきたいのか意思を持つこと、その2つはどちらも必要であり、それがなければ、調査を戦略に結び付けていくことは難しい。
そこは調査会社がタッチできない部分も多いが、そのヒントを提供し、考えるきっかけを与えていける可能性があるのも消費者の生の声を商品担当者自身が聞ける定性調査の良さである。なので、調査を行う際には、担当の方はできるだけGIを見に来て、ミラールームで消費者を感じ、そこから何かひらめきを受けていただきたい。



 誕生まで、成長の過程などいろいろな場面で商品にかかわると、その段階に応じて、悩みの質が変化していっていることを感じる。認知やトライアル率が伸びない、想定していたターゲットに受容されない、といった初期の悩みから、リピート率が伸びない、使用頻度が低い、競合へのスイッチが見られる、といった中・後期の悩みまで。
 現状を分析、把握するのには、定量調査を活用することもあるが、悩みの原因がわかった上で、解消法まで導ける可能性があり、思いかげない悩みや課題に気付けることがあるのも定性調査だ。


 人間同様、商品のライフサイクルに置いても、悩み(課題)や相談相手(調査手法)は変わっていく。変化にあった手法の提案を行っていくことも調査会社の責務だと自負している。



 身内話だが、今年は、私が所属する定性調査部に新人が入り、未来に向かう道筋を立てていく1年間になる。成熟期を超え、未来、次世代への伝承を意識しなければいけない時期に弊社の定性調査部も来ている。これまで自分のことで悩んでいたのが、より大きな単位で悩める機会を与えられたという、悩みの変遷に対応し、新たなステージに上っていけるよう、善処する1年でありたい。