株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

「LINEのキャラクタースタンプ」「ふなっしー*注1、ひこにゃん、くまモンなどのご当地キャラクター」「キャラ弁ブーム」など、近年、広告にキャラクターを用いてマーケティング展開しているケースを目にすることが増えました。


従来、キャラクターといえば、企業・ブランド・サービスに注目を集めるための「アイキャッチ」、難しい説明やメッセージを記号化・擬人化して分かりやすく伝える「シンボリック」としての役割が主でした。



最近では、それらに加え、自治体や企業の社会的活動への共感や参加を促す「ソーシャルコミュニケーター」としてのキャラクター活用が目立ちます。


以前は送り手側がキャラクターの価値を決め、広告やグッズ展開でコントロールしようとしていましたが、現在はボーカロイドの「初音ミク」に象徴されるように、ソーシャルメディアの普及もあって、受け手からのキャラクターへの反応がインタラクティブに反映されます。送り手と受け手の協働により、キャラクターが"共創"され、ブランドファンの手によって自由に派生キャラクターが創作されていきます。


キャラクターの使い方が変わってきた要因には、キャラクターが持つ「パブリックな存在」としての立ち位置やパーソナリティーが強まってきたことがあると考えられます。
フィリップ・コトラーの【マーケティング3.0】*図1に照らし合わせて捉えてみると、キャラクターの役割やコミュニケーションの目的に応じて、重層的に三段階に変化していることが理解できます。


 キャラクターとブランド戦略_図1.gif

製品中心のマーケティング1.0では、企業が作り出す製品を消費者に売ることを目的とするため、キャラクターは広告やブランドに注目してもらうための「アテンションゲッター」の役割を果たします。
広告や商品パッケージにキャラクターを用いることで、広告の認知が向上したり、店頭で商品が選ばれやすくなります。イメージアップやブランドの販売促進のために人気キャラクター(例:サンリオ、ディズニー)を用いたり、企業独自が開発したキャラクター(例:不二家のペコちゃん、コカ・コーラのQoo)などが当てはまると思います。


顧客志向のマーケティング2.0になると、情報技術の進展により、消費者の力が相対的に大きくなるため、ブランディングの差別化が必要となってきます。
どのように違いを理解してもらい、顧客を満足させてつなぎとめるかという「シンボライズ」が目的になります。商品や企業活動に対する理解促進をキャラクター(例:ソフトバンクのお父さん犬、アフラックのまねきねこダック)が手伝うことで、分かった気にさせ、安心感や信頼感をあたえて選択を促すナビゲーション機能をキャラクターが担っているわけです。


そして、価値主導のマーケティング3.0。消費者は意思決定の際、様々な情報やメディアに接するようになりました。
オフライン・オンラインそれぞれのネットワークに関与する割合が大きくなって、より賢くなった消費者がよりよい世界を求めるようになったため、企業やブランドは選ばれる側に。生活者はそれぞれの人生の価値観にあった企業や商品・サービスを選び、より高い精神性を欲します。


よって、企業側は生活者を一緒に巻き込んでいかなければ成り立たないような社会的意義の強い活動を広める際に、明確なビジョンを開示し、コミュニケーションを円滑にせざるを得ません。そこで、幅広い層での共感や参加意識を高めることを期待されて「ソーシャルコミュニケーター」の役割を担うキャラクターが登場します。前述した「初音ミク」の他、「ローソンのあきこちゃん」「伊藤ハムのハム係長」など、活躍中の人気キャラクターはたくさんいます。


すばらしい社会的活動も、生身の人間が言い出すと"売名行為"や"商売に利用"といったうがった見方をしがちですが、キャラクターが呼びかけることで、伝わりにくくなったブランドメッセージへの抵抗感を緩和するコミュニケーション上のクッション・緩衝材となり、素直に受け止められるから不思議です。


2014年も、幕開けしました。干支も、縁起を担ぐキャラクターとして人気があります。
今年の干支「午年(うまどし)」は、ファッションと関わりが深いと言います。馬具工房として創業した「HERMÈS(エルメス)」をはじめ「Chloé(クロエ)」や「Polo Ralph Lauren(ポロ ラルフ ローレン)」などがブランドの重要なモチーフに取り入れています。


ジュニアスポーツ用シューズの「瞬足」は、ランニング系の新カテゴリーとして「天馬」をイメージした「SYUNSOKU RAIZE(シュンソクライズ)」を発表しました。



干支の「ウマ」にちなんだグッズやイベントネタでスタートを切った2014年。
今年も顧客との共創の中で新たなキャラクターが「ソーシャルコミュニケーター」として活躍したり、企業やブランドのキャラクターが生活者と一緒に成長したりすることに選択眼を光らせながら、ブランド戦略のヒント探しをしていければと思っております。
本年も、よろしくお願いいたします。



*注1:ふなっしー:千葉県船橋市を中心に活動する「梨の妖精」という設定のシンボルキャラクター(市非公認のゆるキャラ)