株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
代表取締役社長 澁野 一彦

◆世代間の「ギブ&テイク」の関係。新たな消費の源泉。


東京ディズニーランドは今年10月1日、2013年度上半期の(13年4~9月)の入場者数速報を発表している。
この半年間の東京ディズニーリゾート全体の入場者数は合計1535万人にも達し、過去最高だった前期同期(12年4~9月)の1325万人から更に200万人上積みしている。その一端をシニア層が担っている。


今年開園30周年を迎えた東京ディズニーリゾートは、期間限定で複数日の滞在が割引となる60歳以上向けのパスポートを発売。3世代で一緒に楽しむ「3世代ディズニー」を提案している。



~ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの営業担当者の話~
「3世代に向けたコミュニケーションを本格的に考え始めたのは2008年頃からです。少子高齢化を考えると、ファミリー層の母数は確実に減っていきます。直近の課題ではないのですが、先々を見据えて考えた時、増やす余地のあるのは「ニューエイジング層」であり、団塊の世代が65歳を迎えた今は、定年退職をされて金銭的に余裕のある方も多い。


特にかわいい孫への出費なら喜んで……という傾向も強い。そういった背景からも、
3世代による来園に着目しました。」(朝日新聞記事より)



先月弊社で主催した「シニアライフ・セミナー」でも、少子高齢化が進み高齢者の孤立・孤独化が問題視される中、一方で 祖父母・親・孫の3世代で商品を購入したり、(イベントなどの)サービスを一緒に利用するケースが増えており、「繋がり」を活用した新たな消費スタイルとして注目されているという話が紹介された。


祖父母世代にとって孫や家族と一緒に過ごす時間はかけがえのないものである。そして、時間を共有することで、高齢者の行動をより活動的にさせる。また新しい情報がナカナカ入ってこない祖父母世代にとって、若い世代(子や孫世代)は、有効な情報ソースとなっている。


一方子育て世代にとっても、親世代はなにかにつけて重宝する。
共働き世帯では、親家庭は就業中の際の子供の預け先であり、送り迎えを代替してくれる便利な存在になる。また教育費を含めて(莫大な)生活資金がかかる子世代にとって、資金援助の点でも親世代の存在は大きい。


今回取り上げた「3世代ディズニー」の財布の出所は、祖父母世代であるようだし、孫の入園・入学、卒園・卒業に関わる様々な支出も代替するケースが多いようだ。


背景に資産の世代間格差や少子高齢化、女性の社会進出といったマクロ的社会要因を伴っており、今後もこうした「繋がり」を活用した消費のパターン、資金の流れが表面化していく可能性がある。
3世代の「繋がり」は、まさに「ギブ&テイク」の関係で、社会構造的にも新たな消費を生み出す源泉といえる。


今年4月から始まった「教育資金贈与非課税制度」も、祖父母のから子・孫世代への資金の流れを制度化したものである。これは2015年末までの期限付き措置だが、30歳未満の孫1人あたり1500万円までの教育資金の一括贈与税が非課税となるもの。約900兆円とも言われている高齢者の個人金融資産を教育コストの大きい子育て世代に移行させることで、社会のセーフティーネットとして機能させたいとのことである。(文科省談)



◆「ディズニー」も少しづつシニア仕様に?


「ディズニーリゾート」も30周年を迎え、若いころディズニーに親しんだ第一世代が50~60代を迎えている。
先日「ディズニー」に関するTV報道で、60才前後の男性が定期券を作って「ディズニーリゾート」に通っているという話を聞いて、この年齢になってもここまでのファンがいるのかと驚いた。


シニア向け年間パスポートは、ディズニーランド、ディズニーシーのいずれかのみの利用なら3万5000円、両方利用なら5万5000円で販売されている。通常の大人料金からそれぞれ22%、27%の割引となっている。
この値段設定をどう感じるかはそれぞれの判断によるが、時間にゆとりのある(来園回数を稼げる)高齢者にとっては、「ディズニーリゾート」は時間消費にマッチするコスパの高い娯楽サービスかもしれない。


先日惜しくも亡くなられたコラムニストの天野祐吉氏が、ランド、シーに続く三つ目のパークは「ディズニーシルバー」でどうかと話している。(中央公論5月号)
「老人が集まって"痺れるような退屈"を楽しむ場所があってもいい。ディズニーシルバーには大掛かりな道具もエレクトリカル・パレードもなく、ただ心地よい退屈さを感じさせるものがあればいい」と。


そういえば、ミッキーマウスも今年で85才だそうである。アメリカ育ちのミッキーも日本で一世代を過ごし、あらゆる商品にミッキーのシルエットが使われるようになった。


日本の日常になったミッキーの傍らで、祖父母・子・孫3世代一緒に一日中ひねもすゆったりと「ディズニーリゾート」で過ごす
昨今のケータイゲームのように、(せかせかして)遊ぶより遊ばれているようなものではなく、"ヒマを能動的に楽しむ時間/遊びを孫世代と共有することで、また違った子育て支援(大らかな人間教育)ができるのではないかと期待する。