株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

業界内・外への情報発信や情報交流の場を設けて、マーケティング・リサーチの発展を目指すことを目的とした年一回の「JMRAアニュアル・カンファレンス」が、2013年度も開催されました。


今年のテーマは、【collaboration(コラボレーション)】。
このスローガンに沿うような形で、プログラムが進められたように思います。
「MR×●●」というプログラムが五つあり、「クライアントを巻き込み、ファンとの共創を狙ったコミュニティ」などが事例を交えて紹介されていました。


また、「未来をつくり出すリサーチ~デザインの世界に学ぶ価値創造の方法論」と題したパネルディスカッションでは、第一線で活躍されている大学教授、デザイナー、クリエイターの方々がそれぞれ現場で実践している【コラボレーション】を語りました。


個人的には、ロフトワーク社のidea-thon(ユーザー巻き込み型のブランド開発やアイデアを出し合うワークショップ)の話に惹きこまれました。棚橋弘季氏は、「組織の内と外」「製品の発売前後」の異なる視点や「公私混同を積極的にする」「クライアントと自分たち、違う職能の人と自分など職能をこえる」などの境目をボーダレス化する発想こそイノベーション体質になることである、と熱弁されました。



昨年のカンファレンスでは、「温故知新(経験+技術)」「Big dataとSocial Mediaとideasとresearch」「定性+定量」「ニューロ+従来型調査」「感性+科学」など、点と点を結んで線になろうという~【融合(足し算)】の段階にあるという感想でした。


ところが、今年は「Qualitative[経験と勘][専門家][顧客の声]×Quantitative[データ][統計解析][モデリング]」「クライアント×顧客×リサーチ」「ブランド×アイデア×顧客×クライアント」など、【掛け合わせ(掛け算)】によって点ではなく面積に発展させ、成果を遂げる段階に来たと感じました。



筆者も昨今【足し算】【掛け算】について、実感していることがあります。
社内外でMROCやコミュニティリサーチ業務を牽引するようになってから、丸三年が経ちました。
最近は、チーム力の大切さやチームワークのありがたみを実感することが増えていて、「チームは足し算ではなく、掛け算でないと意味がない」ということを肌で感じています。


以下は、よくコンサルタントが人事セミナーなどで用いることのあるもので、チームワークを仮に数式で表したものです。
こちらは「マイナス因子が二人もしくは偶数だとプラスになる」という計算ですので実際はそうはいかない部分もありますが、あくまで例え、考え方として捉えてください。


ここでは「足すよりも掛け算した方が、効果が大きい」ということを表しています。


足し算・掛け算・数式1.gif

これは、団結によって、一人では成し得ないことを成し遂げられるという意味だと思います。


しかし、以下のような数式もあります。こちらは、マイナス因子が一人いるだけで結果的に大きな差が出てしまうということを示しています。
足し算・掛け算・数式2.gif


同じ目的や志しを持たない人が一人でもいる場合、そのチームは結束しない方がよかったという悲しい結末にいたります。これは絶対に避けなければならないと思います。


力を合わせるとき、全員が一致団結して同じ方向に向いているなら、掛け算は大きな結果をもたらし得ますが、逆に一人でもマイナス因子がいればその結果は全く期待できないどころか、それ以下になります。


さらに興味深いことに、以下のような数式もあります。こちらは、マイナス因子が二人いれば、より大きな結果が出るということを表しています。


足し算・掛け算・数式3.gif

マイナス因子が二人いることでチームが一度分かたれるというわけです。でもそのために別の考えを持つ者同士が団結し、プラスのほうに働きかけて問題提起、解決が促され、結果的にチームのためになります。
一致団結の大切さと異見・異論を述べる存在の意味を教えてくれる面白いたとえだと思います。



コミュニティパネルの大規模化、MROCの長期化に伴い、これまで以上に垣根をなくして、異質な視点や発想を入れ、一次元計算の【足し算】ではなく、二次元計算の【掛け算】で三次元を生み出していく必要が出てきました。


定量データだけでも、定性的な感覚だけでも成し得ないことを優秀なスタッフや異質なメンバー全体で成し遂げていきたい、業種を超えて、異なる土壌・文化の領域の方と達成感や喜びを【掛け算発想】で分かち合いたいという気持ちが高まっています。