株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー

企画部 シニアディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

「男性の恋愛は"名前をつけて新規保存"、女性の恋愛は"上書き保存"」

最近、恋愛談義などでたびたび耳にする言葉である。男性は過去の恋愛は過去の恋愛として記憶にとどめておくのに対し、女性は現在進行中の恋愛があれば過去の恋愛の記憶はあまり思い返すことがない、という意味で使われる。


全面的に賛成とは言わないまでも、友人や後輩らの恋愛事情を見ると、確かにそういう傾向ってあるかもしれないと感じる時がある。


「男性の方が執念深くて、隙あれば復縁したいという下心があるんでしょう」「男性の方がロマンチストなのよ」という感性による違いではないかという声が聞こえてきそうだが、筆者は「男性は記憶を大袋に入れがちなのに対して、女性は記憶を小袋に入れがち、だからではないか?」という仮説を持っている。


年間1,000人近い方々とお会いするインタビュアという仕事をしているうちに、そのように感じるようになってきた。



「付き合った記念日や思い出の場所」「初めてのデートで行ったレストランで流れていた曲」など細かいディテールに関しては女性の方が覚えていることが多いため、「女性の方が記憶力に優れている」というのが一般的な解釈である。


確かに女性は「枝葉的な記憶(小袋)」には強いが、細かな情報が多いためか、印象の強い部分だけを強調したり、順序立てて話すことができなかったり、が目立つ。処理する情報量が多いため、結果的に記憶を書き換え、ねつ造して語っていることが多いような気がするのである。

FGI(focus group interview)やMROC(Market Research Online Communities)の現場では、「利用ブランドの変遷」や「自分の歴史」を辿ってもらう場面があるが、女性の場合「最初と最後のコメントが食い違っている?」というケースも珍しくない。



一方、男性は女性よりもクチ数が少ないケースが多いためか、「忘れてしまったのではないか?(≒記憶力が女性よりも劣っている?)」と見えなくもないが、終始一貫していて矛盾が少ない。これは「男性の方が空間把握や分析などの左脳を使う活動が得意だから論理的に話せる」という解釈もできるが、「根幹部分の記憶(大袋)」は男性の方が強いから、ともいえるのではないか。


筆者はこの男女の記憶力の違いに気づいてから、インタビューの現場で、助成の仕方に変化をつけている。


女性には「大きなトピックごとに教えてください」「あれ?気持ちが変わったのはなぜなのでしょう?」「順序立てると、どんな感じですか」とアタマの中を整理してもらうことに注力し、男性には「もう少し、具体的に教えて下さい」「この部分はどうでしたか」と枝葉部分のプローブを行うようにしている。


これからも、女性には、"記憶の上書き保存"をさせない工夫をし、男性には"記憶の新規保存"を1つ1つほどいていくような聴き方を心がけていきたいと思っている。