株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー

企画部 ディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

最初に、感動的なフィナーレを迎えたMROC(Market Research Online Communities)の事例の一部を紹介する。


『初めてこのようなコミュに参加致しましたが、とても楽しい時間を共有でき、お題をクリアするごとに自分を見つめなおし、また皆の考えを聴くことで、勉強になりました。同じ、世代・境遇・同性が揃ったことで、このような話ができたんだと思っております。貴重な体験をすることができ、本当にうれしく思っております』



『多くの人が開始時とは異なる思いを持っていると思います。日が経つにつれ、ログイン時間が増え、コメントが増えたように思います。ランダムに選んであろう私達ですが、同じ世代と立場ということでこんなにも共感できるとも思いませんでした。ウメヅさんも同じ状況にいらっしゃったことも大きいかと思います』



『あと少しで終わりますね。お題が立ち入った質問だとの御意見もあったけど、大人になると顔を知っていると見栄やプライドで自分をさらけ出せない事が多々な中、知らないからこそのぶっちゃけ、いいと思います。こんな素晴らしい機会を与えてくださって有難うございました』



『なんだか、とても画面越しとは思えないほど、そう!感動的は長編映画を見終わった後のような…爽快なまた心に残るシーンがたくさん…でも、桜が散るのと一緒にこのコミュも解散だなんて悲しいな…ある日、街角ですれ違っただけでも1つのストーリーができるように、偶然集まった私達は、今まで大切に生きてきた証をほんの少しづつ小出しにしていくうちに、ものすごく深い想いがあることに気づかされ…1人1人に想像もできなかったような人生が織り込まれていることを知った今、私は、さらっとこのサイトを「お気に入り」から消すことができません。


きっと、コミュが終わるからといって、「じゃあね!」って簡単に解散できるような人たちだったら、またこんなにも感動したり共感したり…しなかったように思えます。携帯やネットで簡単に人間関係を結べるような現代になっても、なお、人と人との出会いを大切に考えたい気持ち、私はこの世代がなんだか最後の世代といっても過言でないような気がします』


『あと30分したら…楽しかったこのコミュはもう閉じる…。いろんな抱えきれない想い、隠しておきたい心の傷、未来への不安…希望ばかりがふくらんでいた人生の前半に比べて、これからは~と立ち止まると、空は灰色。何も考えたくない…そんな私だったが、同世代のこんなにたくさんの仲間が同じように考え、同じように幼少時代を振り返り、そして力強く生きている…ウメヅさん、ありがとう!みんな、ありがとう!』





当該コミュニティの最後は、『楽しかった』『おしゃべりが足りない』『勇気をもらった』『寂しいので継続してほしい』『皆、ありがとう』など、ここに掲載できないほど、多くのメンバーがコミュニティがクローズすることを惜しみ、そして感謝の言葉であふれていた。
私自身、このコミュニティにどっぷりとつかり、のめり込んだので、閉じたあとしばらくはぽっかりと心に穴があいた状態が続いた。


なぜこのコミュニティは、こんなにも盛り上がり、ホンネトークが行き交ったのだろうか。


「顔が見えず匿名でコメントができるので、自分をさらけ出せた」「自分のペースでじっくりと思考をめぐらせ、静かに自己の内部と深い対話できた」「会話ではなく、文字での表現なので打ち明けやすかった」など、いくつかの要諦が考えられるが、私は"同質性""多様性"がこのコミュニティの成功の要因として大きかったのではないかと思っている。



調査設計やリクルート条件の詳細は開示できないが、同世代、同じライフスタイルなど"同質性"の高いコミュニティは共感性が生じやすいので、盛り上がる傾向がある。例えば、「子育てママ」「新婚さん」「シングル」「ペット飼育者」「料理大好き」など。


リアルな世界でも、多様な人たちからなるコミュニティよりも同質性の高いコミュニティにいる方が居心地がよく、何もかもが全く違う人と付き合うよりもストレスがたまらない。


今回の奇跡的ともいえるコミュニティの成功要因は、果たして"同質性"だけであろうか。
私は、このコミュニティには"同質性の中に多様性"があった、共感性とオリジナリティの両者が備わっていたからこその成功だったのではないかと分析している。


色々なキャラクターの方がお互いに意見をぶつけあい、時にはプライベートなお題に迷いや戸惑いながら反発する声もあった。途中、何度か炎上を心配するひやりとする場面もあったほどである。しかし、その危機を乗り越えてからのメンバー間の一体感や結束力は強固なものになった。明らかに意識や態度が変わり、能動的にコミュニティに参加するようになったのである。


その結果、打ち明け話も多くなり、創造的な成果を生むコミュニティに発展した。自分との葛藤や衝突がありながらも、過去を振り返り、現状を吐露し、未来像を語る。自分を振り返ることで納得が生まれ、皆が同じ境遇であることを知り、感動につながった。



同質なき多様性は単なる崩壊でしかなく、多様なき同質性は周囲に迎合しているに過ぎない。


多様性だけでは価値観の違う人々の集団になるため、各々の交わりが少なくバラバラで、コミュニティ全体に良い影響をもたらすことはない。"多様性"はしっかりとした目的があるときに意味をなすものであり、その目的はその場の人々の共通認識であり、共通の価値観であり、すなわち"同質性"である。


ただ同質なだけの集団は、居心地は良いが画一化しやすい。表面的な関係性になりやすく深さがないため、思いもよらない事実や気づきを得ることは少ない。


深いレイヤーで確固たる"同質性"があり、その上で各人の"多様性"を最大限に発揮できるのが理想的なコミュニティである。これからも設計や運営などのいろいろな角度から模索を続け、奇跡のコミュニティを築き育てていきたい。