株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー

定性調査部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

調査の中で、ロイヤリティという言葉をよく使う。
ロイヤリティがある・ない、ロイヤリティを高めるためには、・・・ふと考えると、他の言葉で意味を説明することが難しいまま(あえて言えば「忠誠心」「その商品にこだわる気持ち」でしょうか)、それっぽく使ってしまっている言葉だったりします。


別の話として、商品購入の理由を尋ねたときに質問者として困る答えの1つが「何となく」。
「特定の商品にこだわる気持ち」である「ロイヤリティ」の対極にある、「商品にこだわらない気持ち」の「何となく」ですが、「何となく」買っているものの中にも隠れたロイヤリティはあるのかもしれない、と思った出来事がありました。


先日、我が家の洗濯機が壊れました。
ええ、毎日稼働していましたし、子どもも多いので1日2回稼働することも多数。7年間よく働いてくれました。


と洗濯機に感謝はしているのですが、いかんせん、壊れたタイミングが突然でした。
(考えてみれば、ちょこちょこ悲鳴は上げていて、その悲鳴を聞かないふりをしていた私もいけなかったのですが)


いつも通りに夜洗濯をしようと思って、洗濯機のボタンを押したところ、、、ピッと音はするものの、電源が入らず、ピクリとも動かない。。。そこからいかに早く、洗濯機空白の期間をなくすか(早く次の商品を購入するか)の闘いが始まりました。


まずネットを開き、洗濯機を検索。
壊れてしまった洗濯乾燥機が現役のときから、次に買うときは乾燥機能がついていないシンプルな洗濯機を買おうと思っていたので、そこまでの決定は早かったのですが、それでも候補はネット上にあふれています。


しかし、早く手に入れたいという気持ちを考えると、吟味している、迷っている暇はない。ということで、ネット上の口コミが悪くないもの、容量が今使っているサイズに近いものの中で、デザインが「何となく」気に入ったものを「何となく」購入しました。



余談ですが、私、金額の大きな買い物ほど悩む時間が少なく、家電や携帯電話などの電子機器ほどデザイン重視という傾向があります。自分でもちょっと変わっていると思いますが、結果的には選ぶ時間の制約がなかったとしても同じ選択を行った気がします。


「何となく」買った洗濯機、「購入する」ボタンを押してから気づきました。新しく購入した洗濯機、今使っている洗濯乾燥機と同じメーカー、ブランドでした。
先日これまたデザイン重視で買ったスマートフォン、先々代で使っていた携帯電話と同じメーカーでした(しばらく同じメーカーを使った後、1回浮気はしたものの元に戻った形になります)。


ですが、私は多分、洗濯機や携帯電話の選択基準を聞かれたときに「メーカー」は要素として挙げず、「デザイン」を挙げると思います。
「特にこだわりはなく、デザインが好みのものを何となく選んでいるだけです」と答えると思います。


なぜなら、当人はあくまでもデザインで選んでいるわけであって、自分好みのデザインを提供してくれる特定のメーカーを選び続けていることに気づいていないから。
でも、これって選んでいるものを羅列していくと、メーカーロイヤリティがあって選んでいる人と同じ結果になるんですよね。あえて言うなら、メーカーロイヤリティではなく、メーカーが提供するデザインやコンセプトへのロイヤリティなのですが。



この事例からわかるのは、消費者は自分で理解しないうちに、何となく、選ぶ傾向が決まっている場合があるということ。そしてそれが意識しないうちにメーカーやブランドのロイヤリティになっている場合があるということ。


この「何となくのロイヤリティ」を紐解くにはどうすれば良いのか。
答えは意外とシンプルで、「意識だけではなく、行動を聞く」「刺激をあたえ、いろいろなことを考えさせる」ことではないかと思います。


選択基準だけではなく、実際に何を選んだのかを過去を含めて聞き、その共通項や傾向を分析する(対象者に語らせるのではなく、リサーチャーが推察、分析)ことで、その人の隠れた選択基準を見つけることができます。


また、刺激を与え、普段考えていること以上のことを考えさせることで、対象者が何気なく持っていた気持ちが表層化する場合もあります。


そういえば、先日行った実査で、「普段何となくやっているのでわからない」と言っていた対象者が、他の人の話を聞いているうちに「そういえば・・・こういう傾向が自分の中にあったのかもしれないと気付いた」と言ったケースもありました。


いろいろな手法が出てきている昨今ではありますが、「消費者が普段は認識していないことを知る」ための手段として、まだまだグループインタビューも使えますよ、と感じています。