株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

新年あけましておめでとうございます。このメルマガの執筆をさせていただくようになってから、3回目の年越しです。


今年の弊社社長年始挨拶の言葉の1つに「続けることの大切さ」がありましたが、今年も日常の中でふと気がついたことを書き続けていきたいと思っています。


先日、大学のときの友人との同窓会に参加してきました。
同窓会とは言っても、10名ほどのこじんまりとしたもので、皆大学の同じクラスで学んだ仲間。当時は比較的距離は近い間柄だったはずです。
久々に会っていろいろと話をし、楽しい時間を過ごしたのですが、会の途中から軽い違和感を持っていました。


会のメンバーですが、子供を持つ母親が7名(子供の年齢は、上は中学生から下は2歳まで。子供の人数も1名だったり、3名だったり)。そして、子供がいない既婚女性が1名。全員の属性を整理すると下記のようになります。


同窓会参加者.gif

・・・このメンバーで「育児」が話題の中心であったところに無理がありました。。
子供の年齢、住んでいる場所の教育環境、子供の通園状況によって、関心ごとは異なりますし、共通点がない同士だと共感も生まれにくくなります。
私が感じていた違和感は、話す楽しさ、聞く楽しさはあるが、共感がないという点にあったんだと思います。


「共感が得られない」と思ってしまうと、人は「こういった方が喜ばれるのではないか、こういった方が人を傷つけないのではないか」と「演じる」ことをするようになります。
定性調査でグループ設定が必要な場合に、属性が近いもの同士を同じグループにすることをお勧めするのは、この「共感性」を重視するが故です。



また「演じる」という面でいうと、時折実施する夫婦や親子のペアGIも「演じる」場面が生まれるケースがあり、注意が必要です。無意識のうちに「妻らしく」「夫らしく」「親らしく」という気持ちが働き、つい良いことを言ってしまう可能性が否定できません。


嘘を言っているわけではなく、「そうでありたい」ことを言っているので、実態なのか意識なのかを取り違えることさえなければ、有益な情報ではあります。



とはいえ、基本的には人間は演じる生き物なのだと思っています。それぞれの人がそれぞれの場面で社会的な役割を持つ限り、全く演じることをせず、思ったことをそのまま口にし続けるということはありえません。
むしろ、「こう演じたい、こう見せたい」という気持ちが生活のパワーになり、商品への要望になっている気もします。



過度な演技や遠慮を取り除くためには、「時間を共有する」「自分の方から壁を破り、開示する」などの方法があります。
GIの最初の挨拶では必ず「各々考え方は違って当たり前」「考えすぎずに思ったことを口にしてね、反応してね」ということをお願いしています。


GIの最中でも「違った意見があってよい」という話をしたりしますし、「私はこう思うんだけど」とあえて極端な意見を自分の意見として言うことで開示を進めたりもします(後者は使い方に注意が必要ですが)。意見ではなく、実態に迫る手法としてホーム・ビジット(家庭訪問)などの手法もあります。



定性調査では、演技の壁を破り、本音に近づこうとする努力や工夫が求められます。
しかし、人間は演じる生き物であるという視点に立つと、裏側にある本当の気持ちを対象者本人に言わせるのではなく、読み取ることが必要になってきます。


定性調査でクライアントから聞かれる普遍的な質問、「本当はどうなんですかね?本当に買いますかね?」に、誠実に向き合う1年でありたいと考えています。