梅津 順江(ウメヅ ユキエ) 
定性調査部 ディレクター インタビュアー

あけまして、おめでとうございます。


お正月と言えば、おせち料理、書初め、お年玉、初詣、初夢など、わが国伝統の行事やできごとは多い。
我が家(子供の頃)の「家族のお正月」で第一に思い浮かぶのは、「コタツの中でミカンを食べながらみるお正月番組」である。


先日、この「コタツの効用」が海外で評価されているということを耳にした。その効用とは、ぬくぬくと適度に温まり、省エネ(熱の効率が良い)ということももちろんあるのだが、それ以上に「人と人とのコミュニケーション」に力を発揮する器具として興味を魅いているようだ。


お正月はコタツの中でゴロゴロしながら、テレビから流れてくるニュースや芸能界の話など、自然とだらだらと話したことを思い出す。寒いのでいったんコタツに入ってしまうと、あまりにも居心地がよくてなかなか外に出られなくなってしまい、しゃべり続けるしかない状態になる。



昔から、たき火や暖炉にあたることを「暖をとる」という。普通に考えると、あたたかい場に人が集まるのは自然のことで、そこには会話が生まれる。しかし、この何気ないことが徐々に出来なくなり、「コミュニケーションの希薄化」「家族から個人へ」という流れが進んだ。


これらの背景には、情報機器の影響がある。
まず、この流れはテレビで起こった。かつて茶の間で求心力を持っていたテレビは一家に二台、三台と増え、皆で見るというより、各自が好きな番組を別々に見るということが普通になった。今では、サッカーのワールドカップやオリンピックのような特別の場合だけ集まるようになった。


このようなパーソナル化は電話機やパソコンでも起こった。かつて玄関に置かれていた家族共有の電話機やリビングに置かれていたパソコンはなくなり、個室へ移動。今では、どこでも持ち歩ける。


それと同時に住まいという空間が個人化し、家族の求心力は家の中にはなくなってしまったのだ。



そして、新春のニュースが、『Twitter、新年にツイート記録更新 "あけおめ"1秒間に3万3388ツイート』。


Twitterによると、日本で新年を迎えた際の1秒間当たりのツイート数(TPS)が最高3万3388となり、2011年12月に「バルス」で記録したTPS(「天空の城ラピュタ」がテレビ放送された際、「バルス」と唱えるシーンでの2万5088TPSが最高だった)を8000以上、上回って新記録になったという。一人が大多数に向かって行うコミュニケーションの新たなカタチがここにはある。


ここでの求心力は何であろうか。筆者は「社会とゆるくつながりたい」「自分の存在を残したい」という欲求からくるものと考える。


さて、「コタツ」や「求心力」を「コミュニティ」と結びつけて考える。
小さい単位のグループインタビューは「ぬくぬくとしたコタツでの家族の団らん」、MROC(Market Research Online Communities)は「目的意識や価値観が同じものが集まって暖をとる」、大規模のコミュニティ・パネルは「社会とつながりながら自分を表現すること」だとすると、場があたたまる(もしくは、あたためる)ことは、とても重要なことなのだ。


今後のコミュニティを考える上で、「求心力」を見直すことは大きなヒントになった。具体的には、「興味喚起を促す」「希望が持てるヴィジョンやゴールを示す」「自発性とやる気を引き出す」「自尊心をくすぐる」「秘められた意識や行動を信じる」などが求心力につながるのではないかと思う。


今年もどうぞよろしくお願いいたします。