株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー

代表取締役社長 澁野 一彦

■高齢者需要の取り込み~流通のシニアシフトが進む。



シニア関連の消費がじわりと広がり、流通の対応が進んでいる。


イオンは、総合スーパーや食品専門スーパーなど全国1000店を対象に 夏季限定で開店時間を朝7時に設定していたが、シニア顧客の来店が増えたためこれを通年化するという。
同社はシニア向けの商品やサービスを重視する「シニアシフト」を打ち出している。高齢者の朝型のライフスタイルに開店時間を合わせた戦略で、米飯商品や総菜パンなどでシニア顧客の朝食需要の取り込みを狙う。


またダイエーは 「適量」「少規格」「健康」をテーマとして、従来より容量を4割減らしたシニア向けPB商品の食品シリーズを展開。 主力のPB商品は「おいしくたべたい!シリーズ」、米飯容量130gや 食塩を使用しない野菜ジュースなどを販売している。



一方コンビニの雄セブン-イレブン・ジャパンは食事宅配サービス「セブンミール」の配達料を無料とする地域を全国に拡大する。


宅配サービスで買い物に出かけにくい高齢者や働く女性等の利用を見込み、他の食品などのついで買いなども期待する。同社によると、昨秋から東京都内の一部地域で配達料を無料にしたところ、注文件数が以前より3倍増えたという。


商品は500円の日替わり弁当や総菜セット中心で、低カロリーや減塩など健康に配慮した構成になっており、50代以上の利用が70%を占めるそうだ。今年6月現在でセブンミールの会員数は42万人で、今年度中に50万人を見込む。



このように最近の流通の傾向は、少人数世帯、単身世帯への対応、特にシニア世代のライフスタイルや加齢特性に合わせたラインナップの強化が特徴。
弊社で実施した「シニアライフスタイル調査2012」(今年5月実施)でも、シニア層がこのような対応に呼応し、「中食」や「宅配サービス」の利用が徐々に浸透していることが認められる。


食品サービス最近一ヶ月以内の利用.gif

2011年の家計調査によると、スーパーやコンビニで買う弁当(おにぎりやすしを含む)への支出(全世帯)は過去最高の28,836円だった。



 ■「中食(なかしょく)」需要の進展



(少し前の記事で恐縮であるが)今春4月の新聞各社の記事から・・・


「2040年の日本では家庭の食品支出の70%が外食や中食(なかしょく)の総菜などで占められる」。
東アジアの未来の食糧需要を予測した調査報告書を米国穀物協会が発表した。


報告書では、東アジアの中間層は40年までに6億世帯に達すると予想。これらの消費者は裕福で健康に関心の高い日本の消費者を目標とし、食品に品質や健康増進、利便性、トレーサビリティーを期待するようになるとも指摘している。


日本については、家庭以外で調理された食品への支出比率が現在の38%から70%になると予測
少子化や小世帯化、高齢化社会がさらに進み、食材よりも加工食品を重視する動きによって 調理済み食品を輸出する中国が日本の台所になるかもしれないと示唆している。


この予測は少々行き過ぎの感はあるが、現在のシニア層の消費行動や志向変化を見ていると あながち間違っているとも思えなくなってくる。


弊社で実施しているシニア対象の定性調査でも、シニア層から(まるでイマドキのヤングママと見紛うような)「料理するのが億劫」「少量作るのはかえって面倒」「家族が減ったので炊飯回数が減った」といった声が聞かれ、「簡単な調理」や「脱調理」を求める声が多く上がってくる。



■シニアの合理的な消費志向~キッチンのない日本の到来?



前号でシニア世代の消費行動特性を消費意識項目(40項目)による因子分析によって検証した結果、


 シニアのコンビニ利用.gif
など高齢者層の合理的で賢い消費行動が確認された。


コンビニが中食や宅配サービスの扱いを拡充し、スーパーもPB商品を中心に中食(惣菜や米飯商品)やネット購入(ネットスーパー)などを充実させてきている。このようなサービスは、シニア世代の"脱調理化"は加速させる。
 "キッチンのない日本(=脱調理)"は、若者世代ではなく(オール電化と同じように)シニア世代が牽引する未来の食卓かも知れない。


続く