株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー

代表取締役社長 澁野 一彦

■莫大なシニアの財布だが・・・・。


人口動態調査によれば、日本の人口1億2000万人のうち60代以上の人口が4千万人で、全人口の1/3を占める。これに伴い60代以上の所得割合も2020年には全所得の3割を超えると予想されている。


加えて1400~1500兆円ともいわれる日本の個人金融資産残高(すごい!)も、現時点(2012年)でその所有者の6割近くを60代以上の人々が占めている。


この"莫大な財布"目掛けて(シニア層の獲得に向けて)、今まで数多くの企業が様ざまなアプローチで需要の掘り起こしを行ってきたがナカナカ成果に結びついていない。
その最大の理由は、シニアを"金時(きんとき)持ち"の一律のマーケットとして捉えよう(捉えたい)としているからである。


弊社で実施した「シニアのライフスタイル調査」(2012年5月)でも、彼らの生活意識や消費意識・行動を分析すると、シニア層は生活意識の上でも階層化され、また趣味・嗜好も多様で消費意識・行動も異なる決して一括りでは捉えられない人々の集団である。


図1シニアの生活意識の分化.gif



■シニアの消費も階層的 ~シニアの消費行動の平均像は存在しない


シニア世代にはどのような消費性向を持った人達がいるのか、また今後の消費をリードするグループはどういった層なのか。経済格差の大きいシニア世代は、消費に使える金額の幅が大きく(バラツキが大きく)、消費に対する態度の異なるグル-プの集合体であることを 多変量解析(因子分析+クラスター分析)を使って検証する。



《因子分析によるシニアの消費行動特性の抽出》

「買い物に対する意識・行動・態度(全32項目)」を因子分析にかけた結果、
「低価格経済性志向」 「比較検討・内容吟味」 「付帯サービス、カード積極使用」 
「シニア仕様利便性重視」や「店・物固定(コンサバ消費)」「環境重視エシカル」 
「推奨依存・店頭決定」  「買い物好き」 「ネット通販積極利用」 などの消費行動因子が抽出された。


この因子(9因子)を使用して、8層の「消費行動クラスター」を作成した。


《消費行動特性と消費行動クラスター(抜粋)》


価格優先で経済性(エコノミカル)志向が シニアの中にも確実に浸透し始めている。
価格にかなりシビアな層がシニア世代でも顕在化、消費行動にも価格要因が大きく影響。
 →低価格志向クラスター(「価格最優先層」と「将来不安節約層」)が存在感をアップ。


▽積極的に付帯サービス(クーポン、店のポイントカード)を活用し、シニア仕様の利便性(遠いスーパーより近くのコンビニを利用する、小分けの商品があれば利用したい)も重視。イマドキのシニアは割引券やクーポン、ポイントカードを自在に使いこなし、少しでも"コスパ"を考える。また無駄にならない小分け商品への意向も顕在化。
 →価格に敏感な「価格最優先層」が"工夫する消費"をリード。


▽デジタル時代のシニア層(新たな消費層)はネットで比較検討し、品質や成分など内容を充分吟味する。若い世代同様、合理的でしっかりした消費行動がシニア層の中にも浸透。
 →ネット世代の"プログレッシブシニア"「買い物ポジティブ層」「品質吟味・ネット活用層」


▽一方従来通りの「同じ店でいつも決まったものを買い、品質志向の高い消費性向」も存在。
 →昔ながらの "金時シニア"である「コンサバリッチ層」は現在でも有力な消費ターゲット。


▽そして高齢者予備軍男性主体の「購買堅実層」「アナログ消費層」「消費低関心層」といった消費フォロワー層が控える


図2シニア消費行動クラスターの階層構造.png
                                  *詳細なデータはお問い合わせください




■シニアの消費をリードする有望クラスター


今回調査からシニアの消費をリードするクラスター(グループ)として
有望クラスター.gif
が確認された。
この両層はいずれも消費マインドは高いが、「消費の柔軟性」では両極に位置する。


(1)の「コンサバリッチ層」は、比較的経済的余裕もあり低価格・経済性最優先ではない。プレミアム商品も高機能商品も、納得すれば 高くても買ってくれる層である。彼らへのアプローチは、価格や効率性を追求するのではなく、接遇サービスも含め彼ら仕様の付加価値を提供し、よりロイヤル度を高めるという戦略になる。


(2)のプログッレシブシニアである「買い物ポジティブ層」と「品質吟味・ネット活用層」については、自身消費活動の在り方を変えることに対しては柔軟な層なので、彼らの生活背景に合った(時代に合った)手段で、商品やサービスを提供することが、総体としてより多くのお金を消費に回してもらえるということになる。


それ以外のクラスター、特に高齢者予備軍主体の「購買堅実層」や多数を占める「アナログ消費層」についても、前述の全体像(図2)にしたがって上記層に転換させていく手だてを考えることが必要になる。


現在60代のインタ-ネット利用率は5割を越え、70代でも2割以上(電通総研「シニアのインターネットに関する調査」)というデータもある。今後シニア層の消費の仕方(消費の拡大)を考える上でも、インターネットが関与するウエイトが益々増えてくることが予測され、新たなシニア仕様のインターフェイス機能の工夫やSNSによる消費喚起策などが望まれる。

続く