株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

先日、オープンして1ヶ月が経過したスカイツリーに行ってきた。
とはいっても、実はスカイツリーではなく、併設する「すみだ水族館」の征服がお目当て。
この「征服欲」を皮切りにさまざまな「欲・欲求」について考えていきたいと思う。


●スカイツリーとソラマチ


水族館好きで関東近郊の水族館はほぼ訪問している私にとっては、新しく出来た水族館、訪問して関東制覇を目指さなければ、と「征服欲」で来館することとなった。


水族館来館を果たした後、せっかくなので、スカイツリーにも登りたい「欲」が出てくるが、当然ながら予約でいっぱい。そこで、隣接するソラマチの31階まで登ることでこの「欲」を満たすことにする。31階からの景色は壮観で、足がすくむほどの高さ。人も街も小さく見え、東京タワーはもちろん、東京の光景が見渡せた。


ふと、隣にそびえているスカイツリーを眺めた。
31階の目線では、スカイツリーの第一展望台までまだ半分にも満たない!31階からでも遥か上を見上げなければならないスカイツリーの高さに驚くと共に、隣のビルをこの高さに設定したことに感心してしまった。


31階は確かに高い。非日常的な高さを体感でき、東京の景色を一望できる。
そこで、隣のスカイツリーに目をやる。スカイツリーの展望台はまだまだ高い。
「31階でこの景色なら、スカイツリーの展望台からの景色はさぞかしすごいに違いない」と私も思い、周りからも同様の感想が聞かれていた。これまで全く想像が出来なかったスカイツリーの展望の凄さがちょっとだけわかるようで、わからない。だから、体感したい「欲」がむくむくと起こってきた。


これが、もし、隣のビルが低層階だったら。隣のビルからスカイツリーの展望台が近くに見えたら。いずれの場合も「31階でこの景色なら、スカイツリーの展望台からの景色はさぞかしすごいに違いない」という思考にはならず、私の「体験欲」もこんなにはかき立てられなかったに違いない。より上位の存在との対比により、欲が強まった事例といえそうだ。


●物産展での購買


違う日、物産展に行ったときも別の欲があった。
子連れだったからか、物産展の店員さんに声をかけられ、試食。するとあれもこれもと次から次に試食品が出てくる。
試食後、このまま帰るのはさすがに申し訳ない、と2品ほど購入。


もちろん、美味しかったから買ったのだが、これは「見栄欲」「お返し欲」ともいえそうだ。
ここで何も買わずに帰るのは申し訳ないし、試食するだけして、というのもちょっと恥ずかしい気がする・・・との気持ちからの行動となった。


こうやって振り返ると、消費行動は人の「欲」で成り立っている。


●価格だけでの選択


スーパー/ドラッグストアでの、価格だけを見てブランド・産地等を全く気にしないような、極端な話どれでもいいので「一番安いものを買う」という選択を見ても、そこには「節約欲」が存在している。あるいは選択に時間をかけたくないという「時間節約欲」や、そこまで頭を使いたくないという「思考節約欲」かもしれない。


●欲のない消費


「欲」が伴わない消費も時には存在している。
「買わなければいけないもの、買わないという選択肢がないもの」は「欲」が伴わない消費だろう。
子どもがいると、学校関連のものなど、この欲が伴わない「義務消費」が若干多くなり、「欲」が伴う消費の楽しさを認識する。


「欲」というと、「私欲」「強欲」など良くないイメージもあるが、「欲」は生活する力であり、行動の源であると思う。
昔からマーケティングで唱えられている「欲・欲求」だが、一連の行動を振り返り、改めて考えていきたいと思った。