株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
定性調査部 ディレクター インタビュアー 梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

『美女と野獣』は、心ときめく至極のラブストーリー。

不釣合いに見えるカップルの恋愛を描いた作品は、幅広い層や世界各国で長く愛されている。作品が有名なことから、"素敵女子"と"ブサメン"の組み合わせに対する代名詞に用いられる表現でもある。

この美しくてロマンティックな恋の物語。そのココロの内部に目を向けると、これまで気づかなかったホンネや心理が透けて見えてくる。

まずは、"美女(素敵女子)"の本当の気持ち。
  『醜いものと一緒にいると、私の美しさが強調されるのよね。注目されて気持ちがいいわ。
  多少のシミやぽっちゃり体型だってカモフラージュできるし。』
「美しいものは醜いものとともにあると、互いに引き立てあう」ということを分かっている。実にしたたかだ。

次に、"野獣(ブサメン)"の気持ち。
  『醜いオレだけれど、皆がお手上げの、あの美人をゲットできたぜぃ。ワイルドだろ。』
  『皆、オレにもっと注目してくれ。モテる男の秘訣についての本でも出版しようかな。』
コンプレックスを克服して得た喜びは、ひとしおなのだろう。調子に乗っているようにも見受けられる。

「美談を意地悪くみないで」という批判があるかもしれない。しかし、マーケティングにおいては、対象となる者のホンネや真実に迫ることが大事なので、考えられる一例としてとりあげた。

実は、定性調査の醍醐味もそこにある。人の奥深い心理を読みとって解釈し、商品開発につなげられるようにするのである。ターゲットのナントナクの感覚を言語化、ビジュアル化して商品やサービスに結びつける。

グループインタビューなどでは、

 『環境を考えた企業や商品は素晴らしい』 『ゴミはきちんと分別したい』という優等生的発言や
 『バリアフリーなので、お年寄りにやさしい』 『資源の無駄になるから包装は簡易にした方が良い』

という他人ごと的な発言が挙がることは多い。

「タテマエで言っている発言の奥底や裏には、どんな真意が潜んでいるのか?」


これは、私自身がインタビューの現場や分析の際、常に頭の隅に置いていることでもある。

さらに言うと、ホンネをつかむだけでなく、その後の予測や展開まで見据えて考察するように心がける必要がある。

環境対応の例だと、
 『企業が環境に取り組むのは、当たり前』
 『本当は環境のことより気分よく楽しく日々を過ごしたい』
 『きちんと環境に取り組んでいる姿勢を表明することで他人からよく思われたい』
 『資源の無駄になると言わないと、周囲にたたかれる』                 
というところがホンネか。

美女と野獣の例では、
 『今の時代は、"美男と不器量女"など男女が逆転するケースもあるのではないか』
 『ベル(美女)が現実世界の人間なら、彼女は夫(野獣)から虐待を受ける妻になる可能性があるのではないか』
ということを今後のあり得る予測とするのは、少し深読みし過ぎか。しかし、そこまで考えてみるということが実は大事なのである。

インタビューで得た発言は、背後にあるホンネニーズを探ることに停まらず、もうひと展開踏み込んで結論づけをすると、商品開発やサービスの施策などに反映しやすくなると思う。