株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 ディレクター 牛堂雅文

「ゲーミフィケーション」とは


「ゲーミフィケーション」は日本では2011年後半~2012年初旬のバズワードであり、株式会社ゆめみ代表:深田浩嗣氏の言葉を借りると、【ゲームが持つプレイヤーを活性化させるノウハウを、ゲーム以外の領域に使うこと】となっています。
「ゲーミフィケーション」が話題となったのは、単純に海外で注目されているといった背景があります。少し古い例だと位置情報を使った「Foursquare」、もう少し新しい例だとWebサイト来訪にゲーム的要素を取り入れ、バッジで来訪を促進する「Badgeville」が有名なようです。
それだけではなく、Web、スマートフォンなどを通じインタラクティブなコンテンツ、アプリを提供しやすくなり、ユーザーの行動が把握、計測しやすくなった今だからこそ現実味が増したことも背景にある言えるでしょう。
そして昨年、MROCをはじめ、マーケティングリサーチの今後を占う書籍として業界の大きな話題となった萩原雅之氏の著書「次世代マーケティングリサーチ」。そのChapter4でも、ゲームを使ったリサーチの可能性が語られていました。
マーケティングリサーチでは


通常、マーケティングリサーチは「ゲームのノウハウ」どころか、できるだけバイアスを排除し、統制された環境で実施されるのがよいとされています。
しかし、その結果、冗長で実に無味乾燥な調査票が作成されてしまい、回答者の関心を失いやすく、脱落を招き、回収率の低下につながる悪循環を生じる結果になってしまってはいないでしょうか。
そしてバイアス排除、統制の代償であり致し方ないとはいえ、冷静、真面目、ロジカルといった、普段とやや異なる心理状態で回答させてしまっている恐れも拭いきれません。
「ゲーミフィケーション」への取り組みと不安


では、リサーチ業界のゲーミフィケーションへの取り組みに注目してみましょう。
リサーチ業界で注目される海外のカンファレンス「ESOMAR Congress 2011」でも、ゲーミフィケーションを用いたリサーチの研究が発表されていたそうです。参加された方から、画面イメージとしてスノーボードで斜面を滑り、質問に対して「Yes」「No」2つのゲートを選らんで進んで行くゲーム形式の調査事例をご紹介頂きました。
ゲーム形式の調査ということ自体物珍しく、関心を持たれた方も多いかもしれません。しかし、いざ「現在実施しているマーケティングリサーチをゲーム形式に置き換える」となると、「ちゃんとした結果が出るのだろうか」…などと途端に不安を感じられるのではないでしょうか。
私もその一人です。
かつて、「訪問留置調査」から「Web調査」へ切り替えるだけで「データがぶれ、過去データと比較できない」と問題になったことを考えますと、「ゲーミフィケーションへ切り替えましょう!」という提案、説得のハードルがいかに高いかは推して知るべきかもしれません。
リサーチに「ゲーミフィケーション」は適用不可?


「結局ゲーミフィケーションなんて、現実的にリサーチには使えない」…ちょっと待って下さい、それは即断しすぎです。
要は、「むしろゲーミフィケーションを使った方が、普通のリサーチをするより適しているケース」を発見すれば良いのであり、手法への親和性の高いケースの発見がゲーミフィケーションの普及とセットになっていると考えるのが現実的でしょう。
言い方を変えると、「ゲーミフィケーションによるリサーチの適用領域の拡大」という発想です。
こうなると聞かれそうな「具体的にはどんな領域?」というご質問。実はある程度答えは見えているものの、実験・検証等がこれからとなるため、恐縮ながらここではお伝えできません。…なんとも申し訳ございません。
ただ、ゲーミフィケーションの適用はまだ探索が始まったばかりですので、機会を頂けましたら、ぜひ多くの方と意見交換をさせて頂けますと幸いです。多くのアイディアが新しい可能性を生むものと信じております。
実際にゲーム関連の方と話をさせて頂き、ゴール到達・目標達成ありきではなく、「その場、その場を楽しんでもらう」という発想をされていると理解することができました。通常のビジネス発想とは異なる視点を得られ、多いに刺激になっています。
そしてより大きな視点で考えると、かつてほどの勢いはないにせよ、なんと言っても日本は「ゲーム大国」なのですから、そうそう海外に後れを取る気もしません。
東北大震災発生後1年が経ちましたが、まだ「復興できた」と言える状態ではありません。「日本を元気にする」という意味も含め、ほんのわずかでもそういったお役に立てれば幸いです。