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フィールドワーク部 飯塚 茜

8月21日、北海道の道央に位置する北竜町で開催された北商ロードレース
「ひまわりの里」と呼ばれる美しい田園地帯で毎年行われるレースで、今回で47回目を迎える。この大会には今回初めて若年性認知症ご本人と、そのご家族が参加することになった。

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「若年性認知症」とは18~64才以下までに発症が認められた場合を指す。
JMAでは、この初めて行われる取り組みが、若年性認知症ご本人やそのご家族、一般の方にどのような影響を与えるかを知るため、調査を実施することになった。
JMAからは私を含め4名のスタッフが参加。8月20日、大会前日に北海道入りした。
マラソン大会が行われる北竜町の会場への道のりは、新千歳空港から約3時間程度のドライブ。目的地に到着するころにはみんなヘトヘト。北竜町に到着してすぐ、まずはロードレースの会場視察を行うことに。
目的地に着いて車を降りた瞬間、思わず息をのんだ。
目の前に広がるひまわり畑は、果てしなく続くようにも思えた。
圧倒され、魅了され、ただただ立ち尽くした。長旅の疲れは一気に吹っ飛んでいた。
翌日8月21日の大会当日。
私たちは参加者に大会終了後、一般参加ランナーたちへのアンケートと若年性認知症ご本人とそのご家族へのグループインタビューを実施した。
私は一般ランナーへのアンケートを担当。
方法は至って単純で、ゴールした一般ランナーに、アンケート記入をお願いするというシンプルな方法だった。
簡単に終わると思った調査に、なぜか試練が加わった。なんと、突如3kmのレースへの参加の指令を受けたのだ。予定外の展開に内心あとずさりしたが、とにかく走ることに・・・。
目的はランナーたちの走る姿を写真に収めることだった。
走りながら、若年認知症ご本人や、そのご家族たちの走る姿を写真に収めた。
そこで見たもの。みなさんの真剣なまなざし。または笑顔、苦しそうな顔。そこには様々な表情があった。
それは一般ランナーと何一つ変わらない、一人のランナーの顔だった。
「特別ではないんだ。みんなと一緒なんだ」と強く感じた。
 

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自分がゴールした後は、ゴール後の一般ランナーにアンケート協力を依頼。
アンケートは楽しかった、回答者の生の声も聞くことができたから。
アンケートの回答者の多くから、認知症の方の参加を受け入れ、今後もこういった活動を継続すべきとの声を聞くことができた。
アンケートを実際に行って一般ランナーと話すことで、今回の取り組みが、社会への啓蒙活動につながっていることを実感することができた。
今回参加された若年性認知症の家族会の一つに「彩星(ほし)の会」という会がある。
この名前には「一人ひとりが、それぞれの色で輝けるように」という意味が込められているという。彩星の会の代表の干場氏は、今回の活動について「若年性認知症に対する理解が遅れている中で、一般の人と一緒に走ったことに意義がある」評価する。
また、ご本人、ご家族からは「みんなと一緒に走って自信がついた」「本人の笑顔があり、生き生きしていた」などポジティブに受け止められていた。
この調査に参加して、目に焼き付いている光景がある。
目の前に広がるひまわり畑の中で、それに負けず鮮やかに輝く、たくさんの彩星(ほし)たち。その輝く笑顔は、目もくらむほどまぶしく見えた。その笑顔が、いつまでも輝き続けますように。
今回のこの話には、実はオチがある。
突如言い渡され走ったレースで、うっかりなぜか5位に入賞してしまったのだ。みんなからは、それはそれはひどいブーイングの嵐。
出張から会社に戻ってからも「空気読めー」と言われ続け、みんなに呆れられる始末。「ちゃんと仕事はしてきたのに。」と、しばらくの間、本人は不貞腐れる日々だった。
 

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飯塚茜