株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
企画部 牛堂雅文


 前回の1ヶ月後にあたる4月末に「第2回 震災後意識調査」を実施。
 
 「安定した生活を送りたい」が92.0%と、引き続き強い安定志向が見られており、
 今後の支出の予想でも、基本的な食品・水などは支出増となっているが、ギャンブル
 や娯楽関連などについては支出減の傾向が見られ、消費への影響が大きいことが窺える。


弊社では3/24(木)25(金)に、「東日本大震災」以降の関東・関西における状況や、生活意識を把握し、迅速な日常生活・経済活動復興の一助にさせて頂く事を目的とした【震災後生活意識調査】を実施致しました。
そして、今回は【第2回】として1ヶ月後の4/23(土)~25(月)に調査を実施しました。
本調査結果の公表により、各企業・団体様の事業復興を通じ、日本社会復興のお役に立てれば幸いです。
調査設計


本調査の調査地域は、前回同様に「関東」「関西」とし、今回から「関東」に「茨城県」を追加しています。そして全体の合計からは除外していますが、比較対象として「東北」を加えております。
ただし、「東北」への設問には被災者の方の感情に配慮し、多少設問を減じて実施しています。
 ・調査手法:弊社モニターパネルに対するWeb調査
 ・調査期間:2011年4月23日(土)~同25日(月)
 ・調査対象条件:15~59才一般男女
 ・調査設計/調査地域: 標本数800s (関東400s/関西400s)+東北400s 
 (※特に断りがない場合、データは関東・関西計800sベースで表記。)
 
震災2_設計.gif
震災2_調査地域.gif
なお、「定量調査は客観性を重視し、推測・解釈を挟まない」という発想もありますが、このデータからの推察・読み解きにまで踏み込んでいることを、あらかじめご了承頂けないでしょうか。
震災の発生で不安に感じている点


「不安に感じている点」では、2ヶ月を経過しても問題が継続中である「福島原子力発電所の状況」がやや微減ながら63.3%で最上位になっています。
また、前回からの変化に着目すると、日常的な不安が解消に向かっている様子が窺えます。
「食物や水に対する不安」 (3月:52.6% → 4月:41.6%)
「停電で日常生活に影響が出てしまうこと」 (3月:43.3% → 4月:32.4%)
「日用必需品の不足」 (3月:44.6%→4月:30.1%)
そして特徴的なのが、下記のような景気への不安が上昇しており、もう少し広範囲・長期の視点へ関心が移りつつあることが分かります。
「景気の後退」 (3月:41.8%→4月:51.1%)
「日本社会や経済全体に元気・活気がない」 (3月:31.5%→4月:37.9%)

震災2_不安に感じる点.gif


なお、「東北」では「原発の状況」「余震の発生」が7割を超え、「停電で日常生活に影響が出てしまうこと」が6割と、いまだに不安が強い状況にある様子が窺えます。
今回新設の「風評被害により一部の作物」が売れなくなる」「生活や収入の見通し」は関東・関西計で3割程度ですが、「東北」では4割を上回るなど、身近な問題が解消していないものと思われます。
原子力発電所に対する意見


震災後収束の目処の立たない「福島原子力発電所」ですが、この「原発」の是非については、マスコミで公表されたデータが各社間でブレが大きかったため、リサーチ会社が客観的な聴き方で把握した場合の数字を取るために質問を行いました。 (※この時点で浜岡原発停止は報道されていませんでした。)
 

震災2_原発設問.gif


 

震災2_原発賛否.png


「減少」37.5%、「廃止」23.4%、この2つの合計で60.9%と、大きく捉えて「反対」派は半数を上回っています。特に「東北」では約7割と、反対意見が多いのが特徴的です。
震災後の基本的な生活意識


「震災後の基本的な生活意識」では、「安定した生活を送りたい」で「そう思う」が92..0%と、微減ながら前回同様に他の設問も含め全ての生活意識項目の中で最多となっています。
同様に、それに連動していそうな意識として、「地道に生活したい」68.6%、「節約して暮らしていきたい」67.1%が上位に挙がっており、安定・堅実志向が継続している様子が窺えます。
前回からの変化としては「新しいものを取り入れていきたい」(3月:47.6%→4月:42.4%)が減少しており、保守的な志向が継続することが読み取れます。 

震災2_基本的な生活意識.png


 「東北」では、上位3つの安定・堅実思考がより強く、「関東・関西計」では微減している「周りの人との関係性」が7割を超えるのも特徴的です。
震災後の消費・生活意識


基本的な意識よりもう少し具体的かつ、震災の影響を受けていそうな意識に関する設問について、前回同様肯定回答が多かったのは、「節電に協力したい」(3月:72.4%→4月:73.4%)「日本は必ず復興する」(3月:73.3%→4月:70.0%)。全体の傾向はほぼ前回同様です。
ただし、「今後景気は悪くなる」(3月:37.1%→4月:42.5%)が増加しており、ここでも長期的視点での不安が強まっていることが分かります。
なお、「食品は放射性物質の影響に気をつける」(3月:47.9%→4月:33.6%)が減少するなど、放射性物質への不安は減少しています。 (※注:この時点では、神奈川県の茶葉のセシウム検出報道はなされていませんでした。)  
 

震災2_消費・生活意識.png


「東北」では、「いざという時に強い連絡手段を用意したい」71.3%、「災害対策グッズをそろえたい」75.5%、「日持ちする食品を優先して買いたい」68.3%などと、より災害に直接的に関わるもののニーズが高くなっており、関東・関西に比べ影響が色濃く残っている様子が窺えます。
 
                                               
今後の支出/最寄り品


今回の調査では、より実際の消費に近い分野別の「今後の支出が増えそうか、減りそうか」といった質問を行いました。
いずれの項目でも「支出は変わらない」が大半を占めますが、変化の要素に着目し、「支出が増えそう」「減りそう」の差に着目すると、「野菜」「お米・パン」「ミネラルウォーター」といった基本的な食品・水に関しては「増えそう」の回答が多くなっています。
一方で「外食」「タバコ」「ペットフード・ペット用品」などで、「減りそう」の回答が多く、消費の落ち込みが懸念されます。 
 

震災2_支出/最寄り品.png


「東北」では「加工食品」「常備薬」の支出が「増える」がより多く、関東・関西とは支出意識が異なることが分かります。
今後の支出/耐久財・娯楽等


一方、耐久財、娯楽等の消費に関しては、「支出が増えそう」「減りそう」の差でプラスになったものはなく、堅実思考の影響を強く受けている様子が窺えます。
特に「パチンコ・パチスロ」「競馬・競輪・競艇」といったギャンブルや、「カラオケ」「遊園地・テーマパーク」などで「支出が減る」が顕著となっています。
その中でも「子供の教育費」は減少が最小となっています。とはいえ、「増えそう」「減りそう」がともに14%と拮抗しており、何らかの変化はあるものと捉えた方が無難でしょう。

震災2_支出/耐久財・娯楽.png

なお、「東北」では、「減りそう」が関東・関西計に比べて顕著に多く、まだ災害の影響が強く残っていることがここからも読み取れます。
最後に


今回の調査では、みなさまからお寄せ頂きましたご意見を参考として社内でブレストを実施し、「東北」での実施、リサーチ会社という立場で客観的に原発の賛否を問う質問を設けるなど、より踏み込んだ調査を実施致しました。少しでも、みなさまのお役に立てるものとなっていれば幸いです。
この記事では、スペースの都合で一部のデータしかご紹介できなかったため、前回同様抜粋してお伝えしました。弊社にはより詳しいデータもございますので、もしご関心を持って頂けましたら、ぜひお問い合わせ下さい。
2回連続で実施した本調査ですが、今後に関しましては明確な予定が立っておりません。
ただし、みなさまから予想以上のご反響を頂きましたので、何らかの形で生活意識の変化、消費動向の変化を追って行くことができれば…と考えております。