株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
GI部 ディレクター インタビュアー 吉田 聖美

5月も半ばが過ぎました。既に夏日となった日もあり、今年の夏のすごし方を考え始めている方も多いのではないでしょうか。
今年の夏は大幅な電力不足が予想されています。電力を減らすためにどうすればいいのか、そして電力を減らした中でどうすれば快適に過ごせるのかの模索が既に始まっているようです。
夏場に向けて対策が求められるのが暑さ対策。消費電力の大きなエアコンに替わって、扇風機人気が復活しているようです。布団に敷く冷却シートなども人気になるでしょうね。同僚は、ベランダに立て掛けるよしずやツタ系の植物を植える緑のカーテンを検討していました。昔ながらの生活の知恵への回帰も見られます。
これまで当たり前であったことへの疑問や、これまで目を向けなかったものの復権が見られているのが今回の震災を経ての一番の変化なのではないでしょうか。
一度利便性を知ってしまうと元には戻れないことも多いのですが、今回は避けられない事態であった上、多くの人の気持ちが同じ方向を向いていたということも大きいと思います。
今回の震災を経て、対象者の発言内容が変わったりしたことはありますか?とのご質問をクライアントさんから受けて、暫く考えていました。
基本的にはないと思いますが、カテゴリーによると思います、というのが一番しっくりくる答えです。
そして、街中の明るさが下がったように見えやすい、説明しやすい変化ではないと思います。
食品ならこれだったら非常食にもなるかもしれない、という気持ちが「無意識のうちに」働きそうですし、電化製品もこれならエコになりそう、節電できそう、という気持ちが「心のどこかで」働くでしょう。
「そういえば」私は、朝の通勤途中にコンビニを利用する頻度が減りました。震災前は飲料だけ買いたいというときもコンビニを利用していたのですが、今は自動販売機を利用してしまいます。
なぜだろう、と考えたときに、以前と比べたコンビニの品揃えの少なさと新商品の少なさが原因だと気付きました。前は何か新しい飲み物ないかなと思ってコンビニに寄っていたのがなくなったというわけです。
恥ずかしながらこの変化、すぐには浮びませんでした。自分が対象者だったとして「震災前後で自分の中で行動の変化はありますか」と聞かれても「特にありません」と言ってしまったかも。
そう思うと、気付きにくい、見えにくい変化をグループインタビュー内の質問で探ることの難しさを感じます。実査後アンケートとか、定期的に意見を聴取する仕組みとか、掲示板的な気付きがあったときに書き込める対象とか、グループインタビューの限界を知りつつ、フォローしていく仕組みも必要かもしれません。
震災により、新しい商品の需要も出てきています。クールビズ商戦も盛んになるでしょうね。計画停電期間以降、Yahooのトップページに出る「東京電力エリア電気予報」に感心した私は、自分の家の家庭内電力消費状況をデータで見せてくれる機器があったらゲーム感覚で節電が出来て面白そう、普段の生活の中で意外な電力消費実態も知れそうだし、と思ったりしています。
今回の件を経て、対象者の変化に敏感であることも大切ですが、一方で自分自身のちょっとした変化を時々冷静に見る目も持つことで、生活者としての自分を通じて対象者の変化の仮説も構築していくことも必要との思いを強めているところです。