株式会社ジャパン・マーケティング・エージェンシー
DGI 室 ディレクター インタビュアー梅津 順江(ウメヅ ユキエ)

先月の3日、40歳の誕生日を迎えた。
当日まで、桁が上がることを受け入れられず、何ともいえない焦りや迷いで不安定な日々が続いていたが、周囲はこの節目に、様々な催しで祝してくれた。
今年は「いつもの家族や仲間からの誕生日祝い」だけでなく、「職場からの祝福とサプライズ」を頂戴した。
安心できる家族や仲の良い友達から祝ってもらうことは単純な"喜び"が、職場の忘年会での思いがけないバースデーケーキには驚きを伴う"悦び"があった。
前者は「温もりや共感からくる嬉しさ」、後者は「エキサイティングな嬉しさ」という感覚である。
この"喜び""悦び"は、日常の買い場でもおこっている。
私の趣向に照らしてみると、例えば "定番の喜び"は、好きな銘柄のビールを買う行為。おいしいことが分かっているから、確実性のなかでの選択となる。
一方、"サプライズの悦び"は、普段買わないジャンル(Ex.缶のハイボール)に出会った時、偶然におこる消費行動で、未知の部分が多く不確実な選択となる。リスクをともなう選択となるため、エキサイティングなのである。
インターネット上における検索行動は、どうであろうか。
わたくしの例だと、ネットでよく利用するのは、「Google」「Wikipedia」「YouTube」「Twitter」などで、ネットサーフィン、もしくはワード検索で偶然に出会うのは、「YAHOO!知恵袋」「amazon」「Hatena!! Keyword」などが多い。
"よろこび"という点では大差ないが、両者とも"定番化""サプライズ"が合わさった動きをしていることが多いため、通常の利用(検索エンジン他)でも、ネットサーフィン後に辿り着いた内容でも、同じような満足感が得られる。いずれにしても、ネットは偶然の幸福に出会いやすいメディアなのである。
これらの"喜び+悦び""定番の中におけるサプライズ"のことを、≪脳神経科学マーケティング(Neuro-marketing:ニューロマーケティング※)≫では、セレンディピティ(serendipity※)と呼んでいる。
日本語では、「偶有性、偶察性」と訳され、以下のように定義される。

偶有性.gif


「規則性」を"定番の喜び"、「ランダム性」を"サプライズの悦び"に置き換えると、脳の働きや深い気持ちを把握することで、より消費心理に適合した商品やメディアを作れる可能性が出てくる。
「ハイボール」「食べるラー油」などのヒット商品や「Twitter」「YouTube」などの成功をみても、定番の安心感に加えて、視点を変えた切り口がタイミングよく見つかった時にブレイクが生じていることが分かる。
"定番の喜び"は確保しつつも、新たに"サプライズの悦び"を交互に揺り動かしながら、徐々にサプライズの部分を広げていくことが大事なのだと思う。
40歳を迎えて、「アラフォー(Around Forty)」「美魔女」「四十肩」「四十而不惑(論語)」「・・40歳より後は、負けざるようにすべき(武田信玄)」「40歳は人生の正午(ユング)」「40歳は青年の老年期(ユーゴー)」など、外見や心身に関する格言や新語を聞くことが増えた。
これらを要約すると、「40歳は、外見や心身が絶頂期かつ変換期である」ということか。
人生の転機をきっかけに、「これまで以上に、生活者の一人として≪検索/買う/持つ/使う≫などの場を享受し、日々新しい"よろこび"を発見していこう」という、前向きな気持ちが芽生えている。
※ニューロマーケティング(Neuro-marketing): 脳科学の知見を人の消費行動や心理の解明に応用し、脳にとって心地良い商品開発やマーケティング施策に活用する取り組み。まだ基礎研究の域を出ないが、徐々に注目を集めつつある。
※セレンディピティ(serendipity): 当てにしていない価値あるものや思いもよらぬ発見・発明を偶然にする才能や能力。