店頭での購買者心理にアプローチ

今回のシブヤ龍太郎のリサーチファイルでは、店頭での購買者の心理にアプローチする、ショッパーインサイトを調査する手法が話題になっていました。

この「ショッパーインサイト」とは、一体どういったものでしょうか。

そもそも、我々の携わらせて頂いている多くの製品では、新製品を開発し、市場投入する前の段階で、デザイン調査、もしくは製品パッケージの調査が実施されます。
どれだけ製品の完成度が高く、消費者の望むものであっても、店頭で魅力が伝わらず、手にとってもらえず、買ってもらうところまで行かないと意味がないためです。

しかし、パッケージの競争力を把握するため競合も一緒の棚に並べてシェルフテストを実施しても、完全に店頭と同じ条件になりません。

場所は調査会場ですので、売り場のBGMもなく、他のジャンルの製品もなく、POPもなく、凝った陳列もなく、安売りもなく、お金も払いません。そしてなにより、「今日の夕ご飯は何にしようか……?」といった切迫度や購買意欲のようなものも違っています。

そして、実際には店頭で購買銘柄が決められてしまうことも多く、小売店の売上高の約7割が「非計画購買」という説もあります。
※(財)流通経済研究所の調査(1992年)より 出典:恩蔵直人・守口剛(1994年)『セールス・プロモーション』

流通にとっては店内のレイアウト、棚割、POPなど店頭施策は、昔からの大きな課題でしたが、近年はメーカーがこの問題に取り組んでいるようです。

そして、最近ではTVなど、マス媒体を用いた広告が昔に比べ効果が薄くなってきたという背景もあります。消費者に接する最後の機会である店頭における購買心理を探り、効果的な施策を見いだすために、ショッパーインサイトを探ることが求められています。

ショッパーインサイトを探る方法

【アイトラッキング】
ショッパーインサイトを探る方法の一つとして、「アイトラッキング」といって、視線の動きを捉える装置が用いられることがあります。

「網膜は脳の一部がカラダの外に突き出してきた神経」とも言われており、視線を追うことは、その時注目しているものを探る大きな手がかりとなります。

しかし、時代が進んでかなり装置の小型化が進んできたとはいえ、アイトラッキングの装置を装着して街や店を歩いて、堂々と調査を行うことはいささかハードルが高く、ご理解のある小売店にご協力頂くか、店舗を見立てた会場で調査を実施する形となります。
このように、気軽に実施しやすい方法、普段通りの購買行動とは言いにくい側面もあります。

【買い物同行調査/出口調査】
また、「買い物同行調査」といって、実にシンプルな方法で、購買者に調査員が同行し購買シーンを直接見聞きさせてもらう方法もあります。
そして、別のアプローチとしては、購買者の購買直後に調査を行う「出口調査」といった方法もあります。

これらの方法では、購買時の心理について口頭で聞きとりますが、購買時の状況についてのビジュアル的な記録が難しい点が惜しまれます。

ライフログという発想

ここでやや視点を変えます。
「ライフログ」という発想があり、生活している様を自動的に記録を取っていく事を指します。

古くからあるものとしては、クレジットカードの支払い記録がそうですし、ETCの高速道路利用記録、SUICAのような交通系の電子マネーでも履歴が残っています。このように特に記録をしようと意識をしなくても記録が残っていくところが、ライフログの特徴と言えます。

そして、自動的に静止画撮影を行うカメラで生活の記録を納めていこうという動きが2002年頃に起こり一部で話題になりました。呼び方は他にもあるようですが、弊社では「ライフログカメラ」と呼んでいます。

弊社のショッパーインサイトへの取り組み

ここでショッパーインサイトに話を戻します。
弊社でのショッパーインサイト調査の特徴は、このライフログカメラと買い物同行調査をあわせたような手法で実現しており、買い物に同行して話を聞きながら、同時にその時目の前にある状況をライフログカメラで撮影していく方法となります。

比較的シンプルな方法であり、自動撮影であるため対象者の負担も少なく、また静止画をすぐに振り返ってみることができるため、事後インタビューもしやすいといったメリットを有しています。

手元の撮影が可能であり、タイミングが合えば、商品を手に取る瞬間や、ブランドスイッチの瞬間、財布を取り出すシーンなど、リアルな購買シーンが撮影されることもあります。また、撮影した写真の枚数で、その場所にとどまった時間が類推可能であることも特徴となっています。

このメルマガは自社メディアですので、思いっきり手前味噌ではありますが、アイトラッキングまでの仕掛けをせずにショッパーインサイトにアプローチされる場合には、ぜひご検討頂ければ……と思います。

ライフログカメラで撮影した写真
ライフログカメラで撮影した写真