グループインタビューを行う際には、本題に入る前にモデレーター(司会者)の口上の時間を取っています。
口上、と言ってもグループインタビューの趣旨説明やお願い事の説明ですね。
弊社には7名のモデレーターがいますが、モデレーターによってもこのときの内容や伝え方は異なり、個性が出る一幕です。

「時間がないのでいきなり本題に入れませんか?」と言われたクライアントも過去にはいらっしゃったのですが、緊張して会場に座っている対象者の緊張を解き、こちらの意図を伝える貴重な時間と考えていますので、丁重にお断りしました。(口上にかける時間は5分程度に収めるようにはしていますが。)

私が、この時間を使って伝えている基本的なことは「正しい意見、間違っている意見などはない」「意見を1つにまとめて行く会ではない」「世間一般的な意見よりも個人的な意見を言って欲しい」ということです。

また、属性によっても内容を変えています。

  • 「周りの意見に迎合しやすい」主婦が対象者の場合
    主婦同士と言っても普段の生活や、家族や自分の好みって違いますよね(だから意見が違う場合も言ってね)
  • 「評論家的な立場でしゃべりがちな」年配男性が対象者の場合
    世間一般では、とかこうしたら売れるだろうという意見ではなく、あなたの個人的な意見を教えて下さい
  • 「意見が活発に出にくい」社会人が対象者の場合
    会社終わりにここでまた疲れて帰ってもらうのも嫌なので、雑談の延長として考えて下さいね
  • 「自分とは属性が全く違う」高校生が対象者の場合
    皆がどんなことを感じて普段生活をしているかとかが私には分からないので、皆にとって当たり前と思うことでも教えて下さい

モデレーターになりたての20代の頃は高校生や大学生が対象のときに「お姉さんと思って」と言ったこともありましたが、ちょっと無理が出てきたので、この言い方にしたところ、「こんなことも知らないんだ~」という感じで親切に色々話してくれました。

少し話が逸れますが、私がグループインタビューを行った最年少は小学4年生の男の子で、最高齢は70代の男性・女性です。(親子同伴グループインタビューであれば、子供が乳幼児の場合から、行動観察と絡めて経験したことがありますが、子供単独でとなると小学校中学年くらいからが適正かと思います。)
小学4年生の男の子の場合は、開始前の待ち時間にパソコンを持ち込んで、皆で一緒に子供用サイトを見たりして過ごしたところ、だいぶ打ち解けてくれました。
口上とは違いますが、知らない人と同じ場所で過ごす経験を普段していない属性に対しては、事前の時間をどのように過ごすかも大事なポイントになるかと思います。

グループインタビュー開始前の口上に話を戻すと、「Ⅰ(アイ)メッセージを意識して「個人的には」と自分の考え、気持ちを込めて話したり、共感を示すようにもしています。

※「私は~だと思います」「私は~して欲しい」など、「私」を主語にして話すことで、相手に行動を促す方法。

私は小学生と未就学児の子供がいるので、小学生のお母さんが対象者の場合には「私も小学生の子供がいるんですよ」と話しますし、未就学児のお母さんが対象者の場合には「同じくらいの子供がいて」と言います。
心理学の「自己開示の法則※1ですが、自分のことについて情報を伝えたり、自分の気持ちを先に伝えた方が、相手も話しやすいというのはあるようです。
また「類似性の法則※2もあり、同じような属性であれば、「同じだよ」と言ってしまった方が友好性は高まります。
なので、私は未婚社会人女性が対象の場合は「私もフルタイムで働いていて」と言いはしても、子供の話はしません。私の家族構成を知っている人からは「都合がいいときだけ、しかも3人の子供のうち、都合がいい子供の話だけしますよね」と言われます。(笑い)

  • ※1 自分の情報をより多く開示すると、互いの好感度が上がる/自分から情報を開示すると相手も情報を開示しやすくなるという法則。
  • ※2 自分と共通点・類似点の多い人間に親しみを感じるという法則。

グループインタビュー開始前の挨拶の(私にとっての)基本と思えるところをお話させていただきました。
グループインタビュー全般に言えることですが、「万人に正しい、誰がやっても正しい進行方法」はないと思っていますが、こんな意味があったんだ、と参考にしていただけると幸いです。

私の中でも、固定しているものではないので、対象者属性のみならず、話を聞くカテゴリーやその日の気候、時間帯に応じて少しずつ変えています。これからは「暑いですね~」「暑い中ありがとうございます」と言う話出しが増えそうです……。