対照性を表現する時に用いられる「黒」と「白」。物事の是非を問う時に「白黒をつける」と言ったり、相撲の世界で勝負結果を「白星」「黒星」で表したりする。

リサーチ業界は、白黒をつけなければならない機会が多い気がする。
調査結果の分析・解釈で「YES」「NO」を判定しけなればならない時。また、実査直後のブリーフィングの場で「モデレーターさんはどちらの方向性で進めた方がいいと思いますか」と"答え"を求められ、即座に結論付けなければならない場に直面する時……。調査では、常にはっきりと分かりやすい"答え"を求められているのである。

しかし、調査結果が明確でないこともあるし、いずれの方向も難しいといわざるを得ない場合もある。また、絞り込むとせっかくの魅力要素の可能性を狭めてしまうこともある。「YES」でも「NO」でもないところに、「真実」や「インサイト」が隠れているのだ。

「いいと思うけど、○○」「好きじゃないけど、アリかな」「毎日は利用しないけど、たまになら……」という「黒」でも「白」でもない対象者の発言にこそ、ヒントがあるし、「YES」の中にも「確信が持てる」「センセーショナルに感じる」「意外性がある」「王道である」など、様々な意味が含まれている。それらのニュアンスを見分けたり、二者択一では把握しきれない深層心理や至った過程をプローヴしたりすることの方が大切だと思う。

本来は、「白黒をつける」ではなく、「黒白こくびゃくをつける」とするのが正しいらしい。「白黒」は、犯罪容疑の有無をいう隠語で、無罪か有罪かの判断を下すときにのみ用いる、とのこと。
現場では、白黒はっきりさせることは大事で、決着をつけなければならない局面も多い。しかし、「黒白こくびゃくをわきまえた(=物事の理非・正邪を識別した)」上で、黒と白の二色の微差を楽しむ余裕があってもいいのではないか。